(一)-7

文字数 291文字

 俺が寝かされていたのはテントの中だった。倒れた後、ストレッチャーに乗せられてそのままテントに運ばれてきて、木箱の上にストレッチャーごと置かれていた。
 テントを出ると、俺が指揮する第一分隊と、副官が指揮する第二分隊の合計七名が装備を調えて並んでおり、一斉に敬礼を向けてきた。そしてその後ろには、三トン半と呼ばれる七三式大型トラックが一台停まっていた。
「すぐに移動する。乗車!」
 俺がそう言うと七人は一斉にトラックに乗車した。
 俺はトラックの助手席に、運転席には一番若い第二分隊の黒川九郎が乗り込みハンドルを握った。
 そしてトラックは荒涼とした八甲田演習場の荒れ地を出発した。

(続く)
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