第9話

文字数 1,398文字

「亮子、本気か?」

信じられない柚葉は問いかけた。

亮子は柚葉の身体を倒し覆い被さりながら口を開いた。

「俺は柚葉のこと忘れられない」

「俺って亮子」

「今まで隠しててゴメン」

亮子は柚葉とベッドから離れ上服とスカートを脱ぎ全裸になった。

柚葉は女性の身体ではなく男性の身体に驚いた。

「亮子、お前、男だったのか」

「もう1個ある」

そう口にした後、亮子は頭に鬼の角を出現させた。

柚葉は驚いた顔で見つめた。

「鬼…」

「今まで黙っててゴメン…スマホでお前とブライトの姿を見て…」

「ブライトさんのこと知ってるんだ」

「ブライトは俺の兄だ」

「鬼だったことを隠しながら俺と付き合って楽しかったか」

「何度もお前に言おうと思った、思ったけど言えなかった」

「別れて良かった」

「柚葉」

「俺は鬼が嫌いだ」

「柚葉」

「1人にしてくれ」

「柚葉」

「顔、見たくない、出ていけ」

「……」

柚葉の怒りを感じ取った亮子は上服を着てスカートを穿いて無言で部屋を出ていった。

柚葉はベッドで混乱した。

「何で俺のまわりに鬼が寄ってくるんだ」

柚葉は仰向けで身体を倒し天井をじっと見つめた。

「……」

柚葉は目を閉じ眠りについた。

それから時間が過ぎ柚葉は目を覚まし身体を起こした。

その後、柚葉はベッドから離れソファーに座っている鬼に目を向け声をかけた。

「どうやって中に入ったんですか、ブライトさん」

「……」

無言で鬼はソファーから立ち上がり振り返った。

柚葉はブライトではなくマーティンに驚いた。

「マーティンさん、どうしてここに」

「……」

マーティンは柚葉に近づき頬に触れた。

「やめてください」

柚葉はマーティンから少し離れた。

マーティンは1本のバラを柚葉に差し出し口を開いた。

「俺の花嫁になってください」

「俺は鬼が嫌いです、出ていってください」

柚葉は背を向けた。

マーティンはバラを消し柚葉を背後から抱きしめた。

「やめてください」

離れようと柚葉はもがいた。

マーティンは柚葉をギュっと抱きしめその後、柚葉の首を噛んだ。

もがいていた柚葉はおとなしくなりそのままうつ伏せで倒れた。

「これで柚葉、お前は俺のものだ」

マーティンは柚葉をベッドに仰向けで寝かせ見つめた。

「俺は本気で柚葉、お前に惚れた」

マーティンは眠る柚葉の唇に唇を重ねた。

その時、マーティンの父親の鬼が現れた。

「マーティン」

「親父!」

「花嫁はその男か」

「何しに来たんだ」

「ボスが花嫁はまだかと騒いでるんだ、見つけたのならそいつを連れて早く戻れ」

「柚葉は俺の花嫁だ、ボスの花嫁じゃない」

「ボスより先に花嫁を見つけてどうするんだ、連れて行くぞ」

「駄目だ、柚葉は」

「退け」

マーティンを突き飛ばすと父親の鬼は眠る柚葉をお姫様抱っこしそのまま姿を消した。

マーティンは立ち上がり「柚葉は俺の花嫁だ…」と言ってマーティンは気を失い倒れた。

ー鬼の国ー

マーティンの父親の鬼に連れ去られた柚葉は檻の中で眠っていた。

「……」

柚葉は目を覚まし身体を起こした。

そして柚葉は立ち上がりまわりを見渡した。

「洞窟?それに何で俺、檻の中に」

柚葉が口にしたその時、頭に鬼の角、上半身は裸、下半身は半ズボンを穿いた鬼が現れた。

柚葉は驚いた顔で見つめた。

その頃、マーティンは森林でブライトに会い柚葉が連れ去られたことを伝えた。

そこへ亮子が頭に鬼の角が生えた亮子が現れた。

「大事な俺達の花嫁を助けに行こう」

亮子とブライトとマーティンは森林から姿を消し鬼の国に向かった。
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