第13話

文字数 1,392文字

「う〜ん」

目を覚ました柚葉は身体を起こし大きくなったお腹に驚いた。

「お腹が…あああ…」

柚葉は身体を倒し痛みに苦しんだ。

「あああ…」

汗だくになりながら柚葉は痛みに苦しみ続けその後、気を失った。

「……」

大きな柚葉のお腹は元に戻り全裸姿の男が現れた。

男は汗だくの柚葉の頬に触れた。

「頑張ったね、お母さん」

「……」

目を覚ました柚葉は身体を起こし男を見つめた。

「誰?」

「あなたの息子です」

「え…」

柚葉は驚いた。

その頃、ブライトと花梨はマルコムとギルと戦っていた。

互角の戦いにマルコムが口を開いた。

「ブライト、強いな、負けそうだ」

「愛する人を守るため、俺は強くなる」

「愛する人か」

笑みを浮かべながらマルコムはブライトとの戦いを続けた。

ー花梨の家の寝室ー

全裸姿の息子は柚葉に寄り添い唇を奪い口を開いた。

「お母さんの願い何?」

「俺の願い?」

「俺は鬼のボス、マルコムの息子だけど、お母さんはブライトのことが好き」

「鬼は嫌いだ」

「今のお母さんは記憶を失ってる」

「記憶、失ってない、俺は全ての鬼が嫌いだ」

柚葉は顔をそらした。

全裸姿の息子は床に魔法陣を出現させ中に入り柚葉に向かって口を開いた。

「お母さんが嫌いな、鬼退治に行ってくるね」

そう言って全裸姿の息子が姿を消すと柚葉は驚いた顔で見つめベッドからおり魔法陣に近づいた。

「鬼退治…俺に優しく接してくれたブライトさんが退治される…ダメ…そんなのダメ…」

魔法陣の中に入ると柚葉も姿を消しその後、洞窟の中に姿を現した。

「……」

檻に目線を向け柚葉はむりやりマルコムに行為をされたことを思い出し身体が震えた。

その時、声が聞こえた。

柚葉は洞窟の中を走り外に出ると全裸姿の息子がマルコムとギルの命を奪っていた。

ブライトと花梨は驚いた顔で見つめた。

「何て力だ」

「……」

全裸姿の息子はブライトに目を向けた。

「……」

ブライトも命を奪われるそう思った柚葉はブライトに駆け寄り前に立った。

「ダメ」

「柚葉!」

ブライトは驚いた顔で見つめた。

「お母さん、安心してその鬼の命は奪わないから」

「お母さん?」

不思議そうな顔でブライトが見つめると全裸姿の息子が口を開いた。

「俺は柚葉とマルコムの息子」

「え…」

「あなたは父親の命を奪ったの」

花梨が口にすると全裸姿の息子は花梨に近づき口を開いた。

「好みだ、俺の花嫁になって」

「私は鬼退治屋よ」

「関係ないよ、あなたの家に行こう」

魔法陣を出現させると全裸姿の息子は花梨の手を握り姿を消した。

突然の出来事に柚葉とブライトは立ち尽くした。

「花梨、鬼に好かれて大変だな」

ブライトが口にすると柚葉は涙を流しながら口を開いた。

「無事で良かった」

「柚葉」

ブライトは柚葉を抱きしめた。

「あいつのお陰で柚葉を苦しめる鬼はいなくなった、これで落ち着いて暮らせるな」

ブライトは柚葉から離れ魔法陣を出現させた。

「柚葉の家に送るから中に入って」

「……」

無言で柚葉は魔法陣の中に入った。

「鬼のせいで柚葉の心と身体を傷つけた、だから俺がいない方がいい」

「ブライトさん」

「柚葉は俺のこと忘れてくれ、俺は柚葉のこと忘れない」

そう口にするとブライトは魔法陣を発動させ柚葉を消した。

「柚葉、元気でな」

悲しげな顔でブライトは空を見つめた。

自宅の寝室に姿を現した柚葉はベッドに座りうつ向き涙を流した。

「ブライトさん…」

涙を流しながらブライトの名を口にしたその瞬間、柚葉の記憶がよみがえった。
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