第8話

文字数 1,291文字

花梨の家の前に着いた柚葉は家から出てきた花梨に出くわした。

「マネージャー」

「柚葉」

「話があります」

真剣な顔で花梨を見つめると柚葉は花梨と共にリビングに向かい隣同士でソファーに座った。

「花梨さん、俺、モデル辞めます」

「柚葉が決めたことに私は反対しない」

「ゴメンなさい…」

「何で柚葉が謝るの?」

「男に行為をされたぐらいで傷ついて…モデルを辞めるなんて…男のくせに情けないですよね」

「情けなくなんてない」

「……」

柚葉は驚いた顔で花梨を見つめた。

「男性だってむりやり行為をされたら傷つく、だから情けなくなんてない」

「……」

「柚葉、ブライトのこと好きなら花嫁になりなさい」

「え…」

柚葉は驚いた。

「ブライトなら柚葉を幸せにしてくれる、私はブライトならお付き合いを認める」

「……」

柚葉はソファーから立ち上がり頬を赤らめながら口を開いた。

「鬼は嫌いです」

柚葉は家を出ていった。

その後、家の前で柚葉はブライトに出くわした。

「柚葉、どこに行くんだ」

「自分の家に帰ります」

「俺も行く」

「1人にしてください」

柚葉は歩き出した。

ブライトは柚葉の手首を掴み「1人は危険だ」と口にすると柚葉はブライトの手を払い除け口を開いた。

「鬼は嫌いです」

柚葉は走ってブライトの側を離れていった。

それから暫くして自宅に着いた柚葉は家に入れず立ち尽くした。

そこへ元カノで友達の亮子(りょうこ)が現れた。

「柚葉、久しぶりね」

「亮子!」

「柚葉、家に泊めてくれないかな」

「悪いけど、別の人に頼んでくれ」

「どこに行くの?」

「家にいたくないんだ」

「……」

歩いていく柚葉を見つめ亮子は側に近づき手を握り口を開いた。

「ホテルに行こう」

「え…」

驚いた顔で見つめながら柚葉は亮子と共に走りながらラブホテルに向かった。

それから暫くして柚葉と亮子はラブホテルの前に着いた。

「亮子、ここって…」

「ラブホテルよ」

「ラブホテルはわかってる、何でここに」

「私も家に入りたくないの」

そう口にすると柚葉の手を握ったまま亮子は柚葉を連れてラブホテルの中に入り部屋に向かった。

ー部屋の中ー

柚葉の手から手を離すと亮子はソファーに座り柚葉はドアの前で立ち尽くした。

「座ったら?」

「……」

柚葉は向かい合ってソファーに座った。

「男性の人と付き合ってるの?」

「付き合ってないけど」

柚葉がそう返事をすると亮子はスマホを柚葉に見せた。

柚葉はブライトにお姫様抱っこされている自分の写真に驚いた。

「柚葉に恋人出現ってニュースになってるわよ」

「俺は鬼と付き合ってない」

少し怒った口調で口にしソファーから立ち上がると柚葉はベッドに近づき座りうつ向いた。

亮子もソファーから立ち上がりベッドに近づき隣りに座った。

「柚葉、悩んでるなら力になるわよ」

「……」

顔をあげ柚葉は亮子を見つめ身に起きた出来事を全て話した。

亮子は話を聞いて驚いた。

柚葉はうつ向き口を開いた。

「男に行為をされて落ち込んでるような男の友達、やめたほうが良いぞ」

「……」

亮子は無言で柚葉を抱きしめた。

柚葉は驚いた。

そして亮子は柚葉の顔を見つめながら口を開いた。

「私達、よりを戻さない」

「え…」

驚いた顔で柚葉は亮子と見つめ合った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み