大切な味方のはずですが

文字数 669文字

 ときどき。
 本当に稀なことですが。
 味方である「子どもを取り巻く各機関」に所属する方から、「そりゃないだろ」と思う発言を聞くことがあります。
 
 その方は長く教育の現場にいた方で、課題ある子どもともじっくりと向き合う姿勢を好ましく思っていました。
 けれど。

「子どもの貧困なんて存在しないですね。要は親の養育スキルが低いわけでしょ。親がちゃんとしてれば、生活は成り立つわけですから」

 ……ん?
 なんかおかしいぞ?

 そう思ったのですが、そのときはまだ主任児童委員になりたてで、違和感を表現する言葉を持ちませんでした。
 その気持ちがすぅっと解決したのが、前述した教授の講演を聞いたときでした。

「親の年収がどのくらいあろうと。子どもが食べるのに困っている、同年代と同様の経験ができずにいるなら、それは”子どもの貧困”です。親が工夫すれば暮らしていけるんだから、放っておいてよいとはならない。虐待なんですよ」

 親の養育スキルの問題は、れっきとした「子どもの貧困」のトリガーになり得る。
 親がちゃんとすれば貧困じゃないなんて、ちゃんとしてないから、子どもが困ってんでしょうが!!
 と、今なら(もうちょっと穏やかに……。多分)伝えられることでしょう。

 「親が成長すればいいだけだから、子どもの貧困はない」なんて。
 「親がまともになればいいだけだから、虐待は存在しない」と言っているも同然じゃないですか。
 
 親の成長をうながしつつ、今ある課題にメスを入れなければ子どもは救われない。

 ……これがまた、すっごく、すっごく険しい道のりなのですが。
 とほほ。 
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