▲[ Dramatic Violet ][0,]

文字数 11,836文字

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▲※未遂の暴力表現あり。ptsdの方、おひかえください…フィクションまで無礼者たちの思い通りにさせる趣味はわたしにはありませんし、ましてや描きたくありません。
**


***
私たちは忘れません
なので安らかでいて下さい
平和でいさせて下さい
時々私たちはあなた方を思い出します
そしてこれこそ戦争の愚かさと恥だと
後世に伝え再び過ちを繰り返さないと,
***

ドラマティック・バイオレット
~激的痣色~
◆第1部…01話〜18話(18話)
◆第2部…19話〜25話(7話)
◆番外編-ブリューテ国の蕾(つぼみ)

◆あらすじ
昔…ここから遠く、多くの小国家が存在していた大陸で、最も大きいフロッテ国の王の妾である少女レモーネ姫は正妻の替え玉として隣のへルシェン国で暗躍する盗賊達にとらわれの身となってしまう。自国の王の救済がないと悟った彼女は所持していた毒薬で自害しようするが寸前のところでヘルシェンのザフト王子に止められる。自国へ還ろうと画策する彼女だが…


◆◆◆◆◆◆
01…偽りの宴
大陸で最も広く裕福なフロッテ国。その国王の側室「レモーネ姫」は大陸西部を領地とするアーベント公女で側室として最年少で城に囲われてた。しかし国王自身はほとんど彼女に関心はない…。ある時、フロッテ国と隣の小国ヘルシェン国との国境で暗躍する盗賊たちが貴族を人質に身代金を荒稼ぎしていた。近々、王の周辺の正妻か側室が狙われるとの情報を得る。初めて王から声をかけられたレモーネだったが、将軍の計らいにより盗賊達を欺く為、正妻パルフェン姫の囮(おとり)にされ隣国のヘルシェン国に囚われの身となってしまう。自分を攫った盗賊達から王子の慰み者にされるのだと聞かされた彼女はフォルテ王から受け取っていた“貞操の菓子”を使い自害しようとするが寸前でヘルシェンのザフト王子に阻止され…


02…逃げ道と代償
侍女として働かされ、ザフト王子の婚約者ライゼン姫の侍女たちから嫌がらせを受けるレモーネ。フロッテ国へ逃げ帰るチャンスを伺ってたある日、ライゼンから1ヶ月後の収穫祭でザフトを自分のパートナーになるよう説得できたら城から脱出する方法を教えると持ちかけられる。ザフトに“彼女を信用するな”と念を押されたがレモーネはライゼンの言う通りにしてしまう。承諾したザフトだが彼がレモーネを抱き締めているところを目撃したライゼンは嫉妬からレモーネに“ザフトの側近であるパッケンにお願いすれば良い”と教える。しかし彼は侍女に手を出す事で有名で…


03…束の間の休息
パッケンに襲われそうになり、脱出も失敗し意気消沈するレモーネ。城内は収穫祭で賑わっていた。彼女を元気を付けようとダンスパートナーに誘うザフト。しかし彼は脱出を計った事と自分よりライゼンを信用した事を根に持っており笑い者にするため、婚約者が着るという先代王妃のドレスをレモーネに着せる。しかし収穫祭に紛れ込んだ盗賊達がレモーネをライゼンと勘違いし、レモーネが攫われてしまう。彼女を救うため国境へ向かうザフト。一方レモーネはこの誘拐がフォルテ王から依頼されたもので王がもう自分には関心が無いと知りショックを受ける。盗賊達はレモーネに護身用の酒“レーマの口紅”を渡して去る。レモーネは自分が王に試されてると気付く。それはフロッテ国の“暗殺用の酒”だった…


04…二人きりの夜
盗賊達が去った後レモーネが攫われた国境の屋敷にザフトがやって来る。日が暮れてしまった為二人は一夜をその屋敷で過ごす事に。レモーネはザフトに“レーマの口紅”を飲ませるか躊躇っていたが意を決し彼を誘惑して酒を飲ませようとする。しかしその思わせぶりな態度を見たザフトから愛の告白をされてしまう。動揺し挙動不審からワインが毒薬だと気づかれてしまう。激怒した彼は乱暴しようとするが泣き叫び嫌がる姿を見て思い留まる。拒絶されて泣く彼に収穫祭でパートナーになる約束をしていたのでダンスの相手なら構わないと月下の庭で彼と踊る。過去の度重なるフォルテ王の冷たい態度とそれと相反する生まれて初めて自分に優しく接してくれる彼の態度にレモーネも遂には貞操を赦してしまうのだった…


05…脱出
国境の城での一夜の数日後、レモーネはライゼンに収穫祭の夜の事を尋ねられる。何も無かったと嘘をつくがライゼンから衝撃的な話を聞く。ライゼンとザフトは既に“男女の仲”になった事があると言う。自分は敵国の者で弄ばれたのだとショックを受けた彼女はパッケンを訪ねて脱出をお願いする。しかし彼は実はザフトの指示で城の脱走者を防いでるだけで侍女を襲うのは間違った噂だった。ザフトもやって来てライゼンとの仲は否定する。仲直りした二人を見たライゼンはレモーネとパッケンに不貞関係がある既成事実を作ろうと夜中に二人を塔に閉じ込めてしまう。レモーネはパッケンが以前フロッテ国境の村に住んでいて拉致されてきたのだと聞く。出口を探す途中、偶然昔の城壁の外への抜け道を見つけた二人はフロッテ国へ逃亡するのだった…


06…家族の再会
フロッテ国境ハイマート村はパッケンの故郷。通りでレモーネのパンを盗もうとした子供と遭遇する。ホッフェンと言うその男の子にパンを与えパッケンの昔の恋人リートさんを知らないか尋ねるとその子の母親が同じ名前だと言う。パッケンは彼女がもう家庭を持つ女性だと知り黙って去ろうとするが追いかけてきたリートはパッケンをずっと待ってた事とホッフェンは彼がヘルシェン国へ消息を絶った後に生まれた彼の子供だと言う。家族の再会を祝い、レモーネはリートの店を手伝いながらヘルシェン国へ再び行こうと決心する。…しかし数カ月後、リートの店にフォルテ王の手下がやって来る。レモーネがスパイに見つかっていたのだ。彼女はパッケン家族に危害が及ぶのを防ぐため自分の正体を明かし王の元へ帰るのだった…


07…レモーネ姫の帰還
フォルテ王の元に戻されたレモーネはヘルシェン国での経緯について尋ねられる。彼女は侍女として働かされただけと訴えるが王は盗賊達からの報告でザフト王子との国境の一夜について既に知っていた。自分は王を裏切ったとレモーネは王の怒りを恐れるが王はザフトがレモーネを手籠めにしたのだと思い奴を必ず捕らえ罰すると言う。自分から彼を受け入れたのだと言っても聞き入れず受けた屈辱を癒やす為と言い今まで一度も無かった男女の関係を求めて来る。偶然通りがかったパルフェン姫のおかげでその場を逃げるのだった。一方、身分を隠してザフトはハイマート村のパッケンの元にやって来る。レモーネが王の元に連れて行かれた事を知った彼はパッケンと共に祭りの期間だけ城内に入れる事を利用してレモーネを助けに向かう。祭当日に再会するレモーネとザフト。だが密会現場をパルフェンに見られて…


08…王の嫉妬
真夜中に城を脱出する約束をし一度別れたレモーネとザフト。パルフェンは帰還して王の気を惹いているレモーネに嫉妬し、これ以上王の気を惹くなら恋人との密会を王にばらすと脅す。自分はもう王と関わらず、部屋にも招き入れないと約束し何とか口止めしてもらうが真夜中近くになって王がレモーネの部屋の前に来てしまう。このままでは王とザフトが鉢合わせになってしまうと仕方なく部屋に招き入れる。レモーネは飲み物を持って来るのを口実に部屋から出ようとするが王はドアの前に立ち塞がり内側から鍵をかけてしまう。王はレモーネがヘルシェン国から帰ってきてから明らかに自分を避けていると怒り出し、もしまだ貞操の誓いを忘れてなければ夜明けまで妾の務めを果たせと言い彼女を犯そうとする。悲鳴を上げ助けを求めた時、不意に王の背後で鈍い音がし王は気絶して倒れる。部屋に潜んでいたザフトがワイン瓶で王を殴ったのだった…


09…レモーネの故郷
レモーネとザフトはフロッテ国西部のアーベント公国まで逃亡する。パッケンとはそこで別れ彼らはレモーネの生家の城に行く。ザフトはレモーネの従者のふりをし、レモーネは自分がヘルシェン国へ攫われた為、父がフォルテ王に約束の援助を削られていると手紙に書いていたので様子を見に行く事にする。父のユンター氏は驚いたがレモーネが来た事を喜んだ。一方、ザフトは調理場の手伝いに回される。そこで彼は初めて野菜を食べてその味に感激する「ぜひへルシェン国へ持って行きたい!」と口を滑らせてしまう。その態度を怪しんだ料理長は主のユンター氏に報告し彼はザフト王子ではないかと疑う。真夜中、レモーネとザフトは密会するがその現場をユンター氏たちに見つかってしまいザフトは捕らえられてしまう…


10…暴かれた正体
レモーネは父がザフトを釈放するまで一切話し合いに応じないと言い、根負けしたユンター氏はレモーネとザフトを会わせる。お互いを気にかけ合う様子を見て彼らが恋仲であると悟る。彼はレモーネに今後の身の振り方を尋ねる。このままフォルテ王の元に戻らければ援助は無くなりやがてアーベント公国はフロッテ国へ併合されてしまう。ユンター氏はレモーネに、ザフトを誘惑し彼が手を出したら責任を取らせ援助をさせようと提案する。レモーネは怒り、金のために自分を利用してる事、母が父の元を離れた事を責める。彼は謝るが小国には選ぶ手段が限られてるのだと諭すのだった。その夜、レモーネはザフトの寝室に忍び込む。様子が変である事に気づいたザフトにレモーネは利用しようとしてた事を明かす。そこで彼はある提案する。それはアーベント国とヘルシェン国へ野菜を送るために交易の道を作る事だった。ユンター氏も承諾しフロッテ国に内密で交易をすることになるのだった。


11…ライゼン姫の計略
ヘルシェン国で滞在期間が終わったライゼンは自国へ一時帰国する。若い騎士のブラットは3年ぶりにお目にかかった姫の虜となってしまう。巡業騎士の職を辞してまで城内勤務を申し出たのは少しでも彼女の側で仕える為だった。しかし今の彼女はザフトに夢中で…

一方、ザフトはライゼンの婚約解消をする為ブリューテ国に赴く。しかし納得しない彼女は帰国許可を降ろさず、ザフトをブリューテに足止めさせるため、2人きりでお茶を飲んでいる際にドレスをわざと脱ぎ捨てる。その場面を見たブラットに誤解されてブリューテに軟禁されてしまう…フロッテ国のスパイに見つかる事を心配したザフトはオアス夫人にレモーネを国外へ出さないようお願いしていたがレモーネは軟禁されたザフトに会いに行くため外交大使夫妻とともに偽名でブリューテに入国する。


12…捕われの王子
外交大使夫妻はライゼンと謁見するがザフトが風邪である事を口実に会わせない。一方、偽名で大使と共にやって来たレモーネはブラット騎士にフォルテ国の者だとばれてしまう。ヘルシェンの大使がフォルテの者を連れているなら大使は偽物ではないかと疑うブラット。ザフトと大使を引き会わせるよう提案するがライゼンは帰国される事を恐れて拒否する。その夜、レモーネはライゼンに一目ザフトに会わせて欲しいとお願いするが取り合おうとしない。ライゼンにレモーネを部屋に案内するよう言い付けられたブラットだったがザフトの本性を見抜くため、密かにレモーネとザフトを引き会わせる。レモーネがザフトに襲われる時はレモーネを助け、ザフトの本性をライゼンに教える為に…しかし彼の予想は大きく外れ二人は再会を喜び愛し合うのだった…


13…真夜中の紅茶
レモーネと再会したザフトは安全のため彼女を帰国させる。何も知らないライゼンはザフトを誘惑し再度二人きりの夜を画策する。ところが手違いでブラットと閉じ込められてしまう。ライゼンに噂が立つのを防ごうと彼は鍵を壊そうとするが途中怪我を負い作業が難しくなってしまう。続けようとする彼に対し、どうせザフトは私には興味が無いと匙を投げる。それを聞いたブラットは今まで好意があったと愛の告白する。冗談でしょうと笑うと寝台に押し倒されたので彼女は怒って平手打ちする。刺激された彼はライゼンに迫るが強気の彼女が見せた涙に自分の過ちを悟り、再び鍵を壊し始める。鍵は壊れ酷い怪我を負った彼をライゼンは尊敬し手当する。辞職を申し出た彼だったが身を挺して自分の名誉を守った彼を赦すのだった…


14…A contemptuous game~侮辱的遊戯~
ザフトとの密会の画策を侍女頭ウルゼル知られブラットは側近から外されてしまう。一方、突然フロッテ国の使者がブリューテ国に来る。フォルテ王に対する傷害罪で追われるザフト。ヘルシェンの大使に動きがあった事でスパイにザフトがブリューテにいる事を知られてしまう。侍女はブラットが不在で会うのは危険と言うが使者と謁見する。しかし使者の正体はゲーム感覚でブリューテに来たフォルテ王だった。部屋に閉じ込められ助けを呼べなくなったライゼンにザフト引き渡しを要求するが彼女は拒否。王に襲われそうになるがフロッテ国の相方に剣を突き付けブラットが助けに来る。王は血が流れる時は紛争も辞さないとブラットを脅すが彼は怯むどころか受けて立つと引き下がらない。その気迫に押され王は大人しく引き下がるのだった。ブラットの無茶ぶりを咎めたライゼンだったが彼の拳は震えており、心配してくれた事と助けてくれた事にお礼を言い、恋人になっても良いと約束するのだった…


◆番外編…夢の守り人
フォルテ王との謁見後、ライゼンは悪夢にうなされる。彼女に安眠を与える為、侍女頭ウルゼルはブラットに「ある事」を命じ…


15…王の罠
レモーネとザフトが離れて数ヶ月後、ブリューテ国に妙な噂が流れる。レモーネがフロッテ国に帰ったと言うものだった。フォルテ王に捕まったと焦ったザフトはブリューテを飛び出してしまう。ヘルシェンに隠れていたレモーネが王の罠であると気付いた時はすでに遅く、ザフトはフロッテ国境で捕らえられてしまう。ザフトの身が危険と察したレモーネは王の元へ戻る決意をする。彼女を娘の様に可愛がっていたオアス夫人は泣いて引き止める。王はレモーネを今度こそ正妻にしてアーベントと彼女の自由を奪うつもりでいた。王の元に戻った彼女は正妻になる代わりにザフトの無罪放免をお願いして王は承諾する。最後にザフトはレモーネの事は最初から遊びだったと言い去る。しかしレモーネは気づいていた。それはフォルテ王に2人の間柄を勘繰られないための大嘘だと…


16…妃の鑑(かがみ)
パルフェンは約束の1年が迫り焦る。彼の子を懐妊しなかったら王と離婚の約束をしているのだ。王はレモーネが戻ってから肉体関係を迫る。恐ろしく思ったレモーネはパルフェンの部屋へ助けを求める。最初は覚悟を決めなさいと言ったがレモーネがザフトを愛してる事、フォルテの妻になる事は望んで無いと聞かされレモーネに協力する。翌日の夜、レモーネの寝室に忍び込んだ王は自分には家族がいない為どうしても血の繋がった子供が欲しいと言い、寝ている彼女を抱く。可愛そうなフォルテ…呟いた女性はレモーネと入れ替わったパルフェンだった…後日、レモーネを正式な妃として王が発表しようとするのでパルフェンは王がブリューテに行ってる時に懐妊したと言い発表を取り止めるように説得する。すっかり喜んだ王はレモーネから目を離し、そのすきにレモーネはアーベントへ逃げるのだった。


17…秘密の結婚式
レモーネが王の元へ戻り、彼女を忘れようとするザフトだがなかなか立ち直れない。父ハルト王はアーベントとの交易を続ける為ザフトにアーベントヘ赴くよう命じる。ザフトはユンター氏がレモーネを王に取られ怒ってるのではないかと心配するがユンター氏は快く迎える。そこに一人の侍女が働いていた。彼女はいわゆる“出戻り”で城の中でもユンター氏と侍女頭と僧侶しか彼女がここに居ることを知らされていない。休憩にお茶を用意してくれた彼女を見てザフトは驚く。それは変装したレモーネだった…!
王の元から逃げたレモーネにザフトは求婚する。彼は自分がはめてた指輪を一つ結婚指輪の代わりにする。レモーネも承諾しその夜、秘密の式を上げる。初めて本当に寝室を共にして二人は夫婦となる。1週間後ヘルシェンへ出発しようとするがそこへ突然、王が数名の衛兵と共に現る。レモーネを連れ戻しにやって来たのだ…!


18,…過去との決着
フォルテ王はパルフェンが懐妊したのは嘘だったと知り、妾の中で唯一男女関係を結んだことが無いレモーネこそ自分の子を産むべき姫だと彼女を連れ戻そうとする。ツワイク国境ヘ逃げる二人だったが途中ザフトは衛兵に捕まってしまう。レモーネは一人で林の中を逃げるがフォルテ王と鉢合せしてしまう。力ずくで連れ戻そうとする王にレモーネはもう自分はヘルシェン国の妃だから戻らないと反抗する。ザフトと情を交わし「貞操の誓い」を破ったと知った王は彼女を穢れた姫だと罵り彼自身の血で浄化してやると言うとその場でレモーネを突き飛ばし暴行しようとする。王の本性を見せつけられレモーネは今までの怒りを遂に爆発させる!

“もういい加減にしてよ!!
私は…あなたの奴隷になりますと
誓った覚えなんか無いわ!!!”

とっさに手にした拳大の石を掴むと王の頭を殴り付けた。腕を擦り抜け逃げるが王はしぶとく追いかけて来る!目の前が明るくなり林を抜けると思った瞬間、レモーネは突然地面がなくなり体が下に吸い寄せられる!悲鳴を上げながら崖下の海に落下してしまう。後から追って来た王は怒りが鎮まり我に返った。必死で名前を呼んでみるがレモーネは見当たらない。白いドレスが見えたかと思ったが岩にぶつかってはじかれる波だった…
衛兵に捕まったザフトはさっき逃げて来た道端でレモーネが落とした指輪を見つける。それを自分の指に戻しながら彼は呟いた…

“レモーネだから好きになったんだ…
他の妾だったら好きになんかならなかった…
レモーネだったから…”

そう言うと泣いたのだった…。

それから半年後…ヘルシェン国のハルト王は報告書を読んでいた。レモーネの事故がきっかけとなり今までひんしゅくを買っていた大臣達はフォルテ王を退位させる。囲っていた女性達は故郷に戻り大国のフロッテ国も分裂していった。彼はパルフェン姫と離婚を留まることで地位を保ったのだった…。レモーネのアーベントもヘルシェンとの交易で力を付けた為これを機に独立する筈だった。しかしレモーネの行方は未だ不明、ユンター氏はハルト王と話し合いヘルシェンの連邦国として独立。フォルテ王の退位で釈放になったはずのザフトの行方は未だ不明のままである…
ハルト王は引き続き調査の続行を命じた。手がかりがないまま息子の行方を案じるのだった…。
ザフトが昔の記憶を無くしヘルシェン国に戻って来たのはそれから3年後の事だった……
〈第1部-DramaticViolet-終〉


◆◆◆◆◆◆
Lost love memories
◆崖から転落し海に落ちたレモーネは隣のツワイク国のシャーレ姫に救われる。数年後…シャーレのお見合いに付き添った彼女はエアーデ公子の従者シュネーバルと出会う。彼は姿形がザフトそっくりの青年だが過去の記憶を失っていた…

19-“はじめまして、レモーネさん”
フロッテ国のフォルテ王の側室のレモーネは王の追跡から逃れたが崖から海に落ちてしまう。気がつくとベッドで横たわっており、そこにツワイク国のシャーレ姫がいた。海岸で倒れていたレモーネを介抱してくれたのだ。ザフトとはぐれ、妃の証の指輪も失くし、アーベントにも戻れないレモーネは身元を隠しシャーレの侍女として働く。そんな時、レモーネはザフトとの子を身籠っている事に気づく…

それから3年後…ザフトとの子を育てながら侍女として働くレモーネはある時、シャーレのお見合いに付き添う。そこでお見合い相手のエアーデ公の従者であるシュネーバルと言う青年に会う。ザフトと姿形がそっくりだが過去の記憶を失い自分が何者かも分からないという。昔の記憶で時々うなされるというシュネーバルの話を聞いたレモーネは、ザフトはフォルテ王からの虐待を受けたショックで記憶を失ったのだと知る。ザフトに再び会うことが出来た時は2人の子供である「リヒト」の事を話せると希望を持っていたレモーネは哀しみに暮れるのだった…


20-家族のように…
シャーレとエアーデは気が合うカップルとなり今度はヘルシェン国のエアーデ公の城へ招待される。町は年末の祭で賑わっていたがレモーネはシャーレたちとはぐれてしまう。シュネーバルがレモーネとリヒトを祭に案内し3人は家族のように過ごす。しかしレモーネは時折シュネーバルに対し「ザフト」と呼びかけてしまうのだった。その夜、城へ帰ってからレモーネとシュネーバルはお酒を飲むがレモーネは酔った勢いで自分の正体やシュネーバルの過去であるザフトの事を話してしまう。楽しく過ごした祭のひとときと寝入ってしまったレモーネに愛しさを感じたシュネーバルは…


21-演劇代役
翌朝、シュネーバルのよそよそしい態度からレモーネは酔った弾みで洗いざらい過去を話してしまったのだと気づく。一方、シュネーバルはレモーネに対し思いがけない行動を取ってしまった自分を恥じてレモーネを避けていた。シャーレはエアーデ公子をツワイクの城に招待する事を口実にレモーネとシュネーバルを仲直りさせる計画を立てる。ツワイクではザフト王子が切り開いた「野菜の道」を祝う祭が開かれる。祭に向かう際、レモーネはシュネーバルに謝り、シュネーバルもよそよそしい態度を謝る。しかしレモーネに取った行動は隠したままなのだった…

祭では演劇が予定されていたが主役が思わぬケガをして監督は困っていた。そこへやって来たシュネーバルを見るなり、ぜひ代役を勤めて欲しいとお願いされて引き受けることに。幕が下りてから楽屋に突然レモーネの父と母が現れる。ユンター氏が来賓で訪れていて舞台に登場したザフトに気づいて駆けつけたのだ。しかしシュネーバルはユンター氏の事も覚えていないのだった…。


22-薬草と毒草
祭の2日目。シャーレはレモーネを祭のテントの1つへ連れて行く。そこは薬草と毒草を展示されていた。テントのオーナーである先生が「記憶を呼び戻せる薬草」があると言いレモーネはその話に飛びつく。しかし薬草は研究中で毒草にもなるためその話はそれで終わってしまう。その様子をシュネーバルは少し離れたところで見ていた。

その夜、最近よく眠れないと言っていたシュネーバルにレモーネはハーブティーを差し入れする。レモーネは父ユンター氏がシュネーバルの事をアーベント国で受け入れて良いと言っており、あちらで暮らさないかと提案する。しかしまたザフトを引き合いに出すレモーネにシュネーバルは苛立ちをぶつける。昼間の薬草の話にすがるように飛びついた姿に未だ不信感を持ってると言い、もしこれ以上自分の中にザフトを追い求めるなら自分と関係を持つよう迫る。拒否するレモーネだが寂しさを露呈する彼に同情して身体を赦そうとする。しかし無理強いした事を後悔しレモーネに部屋を出ていくように言う。その時、断片的に昔を思いだしたシュネーバルは気を失ってしまう。


23-傷だらけのプライド
レモーネは父のユンター氏に自分はもう少しツワイク国に残ると告げ、両親はアーベント国へ帰る。介抱されていたシュネーバルは昨夜の自分の過ちをレモーネに詫び、エアーデ公子への恩もあるとアーベント行きは辞退したのだった。

エアーデがもう1泊することになりシャーレは彼に手料理をご馳走する事に。しかし調理中に火事がおきてしまいシャーレとリヒトが火中の台所に取り残されてしまう。シュネーバルが助けに行くがレモーネは彼の背中の酷い傷を見てショックを受ける。そこへ外出から帰ったエアーデも駆けつけシャーレとリヒトは無事救出される。その夜、レモーネはシュネーバルの手当てをする。しかし彼は背中だけは見せようとせず、傷痕を恥じ、なぜ自分がこの様な目に遭うのかと苛立ちを見せる。「あなたが負ったその傷は私のせいよ…!」突然泣きじゃくり、すがりつくレモーネに驚くシュネーバルは、しばらく動けずにいた。落ち着いたレモーネをそのまま寝かしつけようとするが、レモーネはシュネーバルを愛してると告げる。シュネーバルは「自分は姿がザフトとそっくりなだけ…」というが自身もレモーネに好意を持ち続けていたことを明かし、2人は愛し合うのだった。


◆おまけ…Honey moon(17話おまけ)


24-新しい国-前編
エアーデ公子の元にヘルシェンのハルト王から手紙が届く。シュネーバルが行方不明のザフトの可能性が高いと情報を得た父王からの城の招喚だった。気乗りしないシュネーバルだが、むげに断れずエアーデと共に城へ赴く。記憶を失っていて他人行儀のシュネーバルだが城内の一部の者しか知らない隠し通路を無意識に覚えていてザフトであると確信する。ハルト王はシュネーバルにしばらく城内勤務を命じる。領地に戻ったエアーデはシュネーバルはしばらくハルト王の元に留まる事を伝えシャーレ姫に求婚する。シャーレの侍女を解かれたレモーネはこれを機にリヒトを連れてアーベントへ帰国する。

一方、フロッテ国では冷夏の作物不作で諸国の援助を必要としていた。外交大臣のパルフェン姫は夫フォルテと共にヘ周辺国訪問へ赴く。アーベント国へ訪問の際、フォルテはレモーネの息子リヒトを見かけ、自分の息子かと尋ねるがレモーネは否定する。その一部始終を見たパルフェンは外遊前に懐妊していることが判明してたが言い出せなくなってしまう。フォルテの側室たちが誰も子を宿さなかったのはパルフェンがお茶会に配っていた菓子に避妊薬を混ぜていたからだった。しかし当時レモーネだけは年齢制限で出席していなかった。

久しぶりにエアーデ公子の元に戻ったシュネーバルはレモーネがアーベントに帰国したことを知りその足でアーベントへ。レモーネを驚かせようと連絡なしに訪問するがそこで偶然フォルテと対面してしまう。シュネーバルはフォルテに拒絶反応を起こし、面談はそれきりになってしまう。レモーネはシュネーバルは、かつてのザフトで記憶喪失であることを告げる。帰国後、フォルテは以前から知り合いだった「記憶を呼び戻せる薬」を研究していた博士(野菜祭のテントのオーナー)に薬の研究を急ぐよう依頼する。

それからしばらくして…フォルテはレモーネに取り引きを持ちかける。リヒトが自分の血を引いている子であると信じ込むフォルテはシュネーバルの記憶回復薬と引き換えにリヒトを養子にするよう要求して…


最終回,-新しい国-後編
フォルテの記憶回復薬の取引に揺れるレモーネ…一方、シュネーバルはハルト王や他の側近の推薦もありヘルシェン国の正式な家臣として認められる。今までザフトの帰還を待ち続けていたレモーネに遠慮していたシュネーバルだがヘルシェンで堅実な地位を手に入れた事で自信を持ち、レモーネに求婚する決意をする。同じ頃、パルフェンは単身アーベント国へ赴きフォルテに内緒で持ち出した「記憶回復薬」を渡す代わりにリヒトが本当は誰の子なのか正直に話して欲しいとお願いする。レモーネはフォルテに乱暴されそうになったのは事実だが一切通じておらず、間違いなくザフトの子だと告げる。その後、フルフト国へ帰国したパルフェンは自身の懐妊を夫に打ち明ける。フォルテはレモーネと情を交わしたと言い張るがパルフェンは女性同士の会話からレモーネは強引に子を孕まされたではないと悟り、フォルテの嘘を指摘する。そしてこれ以上レモーネにつきまとうならば自分が子どもを引き取りシングルマザーになると啖呵を切った事でフォルテはようやく目が覚めパルフェンと向き合うのだった。薬を手に入れたレモーネだがザフトをこのまま待ち続けるか、シュネーバルに薬を飲ませ過去を思い出させるか、ためらっていた。パルフェンからは薬には副作用があり、記憶を呼び起こす代わりにシュネーバルとして過ごした時期の記憶は消えてしまうと警告されていた。そんな時、レモーネはシュネーバルからプロポーズされる。記憶が戻らなくてもシュネーバルと共に生きて行こうと決意するのだった。

レモーネとシュネーバルの婚礼の宴の日。レモーネは手作りの菓子をシュネーバルに用意していたが酔ってうたた寝してしまう。レモーネのドレスの裾から転がり落ちた小箱(記憶を回復する薬)をシュネーバルはレモーネが作った菓子と勘違いして食べてしまう。意識を取り戻したレモーネがそれを阻止し、シュネーバルは薬の効力が半減し、シュネーバルとしての記憶を残しつつザフト王子としての記憶も思い出したのだった。それから…大陸で最も離れた国同士のザフト王子とレモーネ姫の婚礼により、へルシェン国、フロッテ国、アーベント公国の一帯は安泰の時代を迎える。それはこの大陸の他の国々にも良い影響を与え、末永く栄えたそうだ……。


〈終〉

****再掲,[2015年]
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