(二)-7

文字数 294文字

 翔太はそれに気づかずに支線のホームに降りるための階段の前まで歩いてきていた。そのとき、何かを言おうとして振り返ると、拓弥がいないことに気づき、「加島君!」と大声を上げた。
 拓弥はその声を無視して自動改札機の前まで来ていた。
 翔太が後ろから駆けてきて再び「加島君!」と声を掛けながら拓弥の背中に飛びついてきた。
 拓弥は翔太を自動改札機にパスモをタッチさせる少し前に立ち止まった。
「加島君、どこいくんだよ! 乗換じゃないの?」
「なんだよ、急に」
「それはこっちのセリフだよ。せっかく友達ができたのに、急にどこに行くのさ。乗り換えないの?」
「ああ、友達に車出してもらって帰ろうと思って」

(続く)
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