(二)-12

文字数 385文字

 今度の仕事は地元崎玉や可和越ではなく、原宿のスタジオで行われた。
 拓弥と翔太、それぞれ十着の秋冬物の服に着替えながら、一人づつ、または二人一緒に撮影していった。撮影は夜までかかり、恐らく千枚以上の写真を撮られた。
 帰りがけ、二人はカメラマンから飲みに誘われた。
 拓弥は「いや、俺は……」と断ろうとしたが、翔太が「僕たち学生でお金ないんです。おごってくれますか」と笑顔で聞き返すと、カメラマンが快諾してくれたので、拓弥も渋々行くことになった。
 オシャレなバーで三人はあれこれと話した。もちろん拓弥は話す気はなかったが、翔太が巧みにカメラマンの質問を簡単に答えができるよう問い直してくれたおかげで、拓弥も何かしら話をすることになったのであった。
 カメラマンさんは、拓弥と翔太のことを気に入ってくれて、機会があったらまた使ってくれると口でではあるが、約束してくれた。

(続く)
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