(四)-3

文字数 274文字

 拓弥はおもむろにそう語った。なぜそんな話をしたのかは自分でもよくわからなかった。話の流れだと思う。でも翔太になら話してもいいかも、とも思った。
「いいんじゃない、それで」
 翔太の答えはそれだけだった。
 いつも父に否定され続けてきた拓弥にとって、その簡単な言葉は衝撃だった。それでいいのか……。
「これから見つけていけばいいじゃん」
 これから見つける……。そうか、これから見つければいいのか。そうしなければ、俺はずっと父を、そして何かを否定し続けるだけの人生になってしまう。だから、もっと別の、何かを見つければいい。それだけで良かったのか……。

(続く)
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