(二)-6

文字数 334文字

「へー、実家は静岡なんだ。僕の家は栃木なんだ。そういえば、ここって静岡と栃木のちょうど真ん中へんじゃない。ひょっとして何かの運命だったりして」
 ケラケラ笑いながらそう話す翔太の言葉を、拓弥は全部無視していた。

 電車が板戸駅に着いたので、拓弥たちは下車した。
 本来ならこの駅で支線に乗り換えるのだが、拓弥の自宅は最寄り駅から二十分程歩く。だから実奈美に車で迎えに来てもらおうと考えていた。
 ホームに降り立ち、階段を互いに無言で上って行く間に拓弥は実奈美に電話した。しかし実奈美は出なかった。
 ともあれ、二人はホームから橋上の駅舎に上がった。
 翔太は乗り換えのため、そのまま支線のホームに向かおうとしたが、拓弥はその途中で「じゃあな」とだけ言って、改札に向かった。

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み