0.5%

文字数 1,172文字

 巨大地震注意報が発令され、一週間以内に大地震が発生する確率が0.5%と言われております。この0.5%という数値を受け、ある人がXで以下のようにつぶやいていました。

「0.5%なんてないようなものじゃん。降水確率が0.5%で傘持っていく人なんていないでしょ?」

 こういう発想しか出来ない人はもちろん、これを読んで「なるほど」と思う人は、ちょっと……いや、ハッキリ言うのはやめておきましょう。

 何でもそうですけど、確率の数値だけを並べ、対象の重みに均一性がない場合、単純な比較は出来ないのです。つまり、雨と地震では、リスクと確率の釣り合いが取れないのです。
 例えば、お笑い番組でよく見かける(って今もあるのかな?)一つだけ辛子が練り込まれた饅頭がある、というくだらないゲーム。あれがもし、一つだけ致死量の毒が練り込まれているのなら……と考えると分かりやすいですね。確率は同じでもリスクが違うのです。
 一見、極論のようなたとえですけど、雨と大地震も似たようなものです。つまり、0.5%なのでまず大丈夫だろうと傘を持たずに出かけた(確かにほとんどの人はそうするでしょう)ものの、予想が外れ雨が降ってきたところで傘を買えばいいんだし、駅まで迎えに来てもらったり、タクシーを使ったり、止むまで時間を潰したり、多少なら濡れてもいいし、と大して大事にはなりません。それこそ、せいぜい辛子饅頭レベルのリスクなのです。
 でも、同じ確率だからといって、雨と大地震を同列で考えていいのですか? という話なのです。

 0.5%は、単純に200分の1です。同じ確率でも対象のリスクも一緒に想像すると、見え方が違ってくるのです。
 例えば、二百回のフライトで一回墜落する飛行機に平気で乗れますか?
 ブレーキを二百回踏むと、一回は効かない車に乗れますか?
 二百本に一本大当たりがある宝クジなら、買いたくなりませんか?
 感染すると二百人に一人は必ず死ぬ病気に家族が罹っても、そんな確率なんてないようなものと見過ごせますか?
 クッキー二百枚のうち、一枚は本当はビスケットだとしても、大きな問題はありますか?
 一円玉二百枚をもらったが一枚は偽造硬貨の場合と、一万円札を二百枚もらったが一枚は偽札の場合、同じ情緒で受け取れますか?

 確率の数値だけしか見えない人は、「降水確率が0.5%で傘持っていく人なんていないでしょ?」って発想になるのでしょうね。

 日本国内の場合、大雨に罹災する確率が0.5%と言われております。飛行機事故で亡くなる確率は、0.002%、空き巣被害にあう確率が3.4%、ひったくりは1.2%、交通事故で死亡する確率は0.2%です。

 さて、一週間以内に大地震が発生する確率は、0.5%です。コレはあってないような無視していい数値なのか、皆さま、慎重にお考えくださいね!
 
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