第4話 独自調査
文字数 1,567文字
「榊さん、今回はやけにあっさり引き下がったね」
榊がおとなしく隼人の言うとおりに従ったことに、式は疑問を覚えた。
「私たちにはやることがあるでしょう。この七人の生徒から話を聞くのですよ」
と、榊は携帯に入っているデータを式に見せた。
「え、いつの間に写真を撮ったの?」
「式くんと隼人兄さんが話している最中にです。先生に聞けば、彼らの名前を知ることができるでしょう。さあ行きますよ。早くしないと、皆帰ってしまいますから」
そう言い残し、榊は去って行った。
「……なんか、こういうところちゃっかりしてるよな」
式もその後に続いて職員室へと向かった。
職員室で写真の生徒たちの名前を尋ねてみた結果、被害者である井田を含めた七人の名前を聞き出すことができた。
それぞれ瀬尾高広、福村優香、水瀬聖奈、真中慎吾、遠野菜々美、吉野貴子、そして殺害された井田健二だ。
式たちはこれらをもとに、今回の事件について調査を始めた。
「まずは……私たちが知っているこの人から話を聞きに行きましょうか」
榊は写真に写っている一人の女生徒を指した。
その女生徒は、かつて式たちと一緒に灯篭館へと行き、そこで起きた殺人事件を経験している吉野貴子だった。
「吉野先輩のクラスは3-Dですね」
式たちは3-Dがある校舎へと向かった。
3-D組に入ると、見知った人物が話しかけてきた。
「あなたたち、久しぶりね」
「吉野先輩」
目的の人物である吉野貴子だ。
「下級生のあなたたちが、3年生の教室に何の用なの?」
「もちろん、今日起きた事件のことを聞きに来たのですよ」
「……ああ、健二のことね」
吉野は被害者である井田の名前を口にしたが、表情には大した変化はなかった。
「吉野先輩、井田さんって、吉野先輩の友人なんですよね」
「ええ」
「にしては、友人が死んだのにあまり気落ちしていないように見えるんですが」
「式くん、失礼ですよ」
榊が式を小突く。
「そうかな? なんか身近な人がなくなったから、まだ実感が湧かないだけなのかな」
「……」
「吉野先輩は井田さんとはどのような関係だったのですか?」
「うーん、仲のいいグループの一人で、友達だったって感じかな。部活にも真面目に出てたし、殺される理由なんてないと思うんだけど」
殺人事件があったことは既に生徒たちにも知れ渡っているため、彼女が井田が殺されたことを知っているのはごく自然なことだった。
「それでは、他のグループメンバーの中で彼に何か恨みを持っている人に心当たりはありませんか?」
「……特に思い浮かばないかな。もちろん些細なことで喧嘩をしたりなんかはちょくちょく見たことがあるけど、さすがにそれが理由で殺人なんてしないだろうし。深い恨みを持っているかどうかはわからないわ」
表情を見ても、何かを隠しているということはなさそうだ。
「では、昨日の十一時頃は何をやっていましたか?」
「十一時頃? その時間はもう寝てたわね。夜更かしは健康によくないし」
その後もいくつか質問をしてみたが、特に有益な情報は得られなかった。
「まあこんなところでしょうか。答えてくださりありがとうございました」
式たちは礼を述べる。
「大丈夫よ。他にも何かできることがあったら遠慮なくいって」
「それじゃ、他の6人を紹介してほしいんですが」
「私と同じように情報を聞くためね。いいわ」
そう言って吉野は携帯を取り出し、連絡をした。
「今連絡したら、信吾と聖奈は呼ぶことができたから、まずはこの二人から聞いてみたら?」
「ありがとうございます」
「教室に呼び出しておいたから、案内するわね」
式たちは吉野の案内で教室に向かった。
榊がおとなしく隼人の言うとおりに従ったことに、式は疑問を覚えた。
「私たちにはやることがあるでしょう。この七人の生徒から話を聞くのですよ」
と、榊は携帯に入っているデータを式に見せた。
「え、いつの間に写真を撮ったの?」
「式くんと隼人兄さんが話している最中にです。先生に聞けば、彼らの名前を知ることができるでしょう。さあ行きますよ。早くしないと、皆帰ってしまいますから」
そう言い残し、榊は去って行った。
「……なんか、こういうところちゃっかりしてるよな」
式もその後に続いて職員室へと向かった。
職員室で写真の生徒たちの名前を尋ねてみた結果、被害者である井田を含めた七人の名前を聞き出すことができた。
それぞれ瀬尾高広、福村優香、水瀬聖奈、真中慎吾、遠野菜々美、吉野貴子、そして殺害された井田健二だ。
式たちはこれらをもとに、今回の事件について調査を始めた。
「まずは……私たちが知っているこの人から話を聞きに行きましょうか」
榊は写真に写っている一人の女生徒を指した。
その女生徒は、かつて式たちと一緒に灯篭館へと行き、そこで起きた殺人事件を経験している吉野貴子だった。
「吉野先輩のクラスは3-Dですね」
式たちは3-Dがある校舎へと向かった。
3-D組に入ると、見知った人物が話しかけてきた。
「あなたたち、久しぶりね」
「吉野先輩」
目的の人物である吉野貴子だ。
「下級生のあなたたちが、3年生の教室に何の用なの?」
「もちろん、今日起きた事件のことを聞きに来たのですよ」
「……ああ、健二のことね」
吉野は被害者である井田の名前を口にしたが、表情には大した変化はなかった。
「吉野先輩、井田さんって、吉野先輩の友人なんですよね」
「ええ」
「にしては、友人が死んだのにあまり気落ちしていないように見えるんですが」
「式くん、失礼ですよ」
榊が式を小突く。
「そうかな? なんか身近な人がなくなったから、まだ実感が湧かないだけなのかな」
「……」
「吉野先輩は井田さんとはどのような関係だったのですか?」
「うーん、仲のいいグループの一人で、友達だったって感じかな。部活にも真面目に出てたし、殺される理由なんてないと思うんだけど」
殺人事件があったことは既に生徒たちにも知れ渡っているため、彼女が井田が殺されたことを知っているのはごく自然なことだった。
「それでは、他のグループメンバーの中で彼に何か恨みを持っている人に心当たりはありませんか?」
「……特に思い浮かばないかな。もちろん些細なことで喧嘩をしたりなんかはちょくちょく見たことがあるけど、さすがにそれが理由で殺人なんてしないだろうし。深い恨みを持っているかどうかはわからないわ」
表情を見ても、何かを隠しているということはなさそうだ。
「では、昨日の十一時頃は何をやっていましたか?」
「十一時頃? その時間はもう寝てたわね。夜更かしは健康によくないし」
その後もいくつか質問をしてみたが、特に有益な情報は得られなかった。
「まあこんなところでしょうか。答えてくださりありがとうございました」
式たちは礼を述べる。
「大丈夫よ。他にも何かできることがあったら遠慮なくいって」
「それじゃ、他の6人を紹介してほしいんですが」
「私と同じように情報を聞くためね。いいわ」
そう言って吉野は携帯を取り出し、連絡をした。
「今連絡したら、信吾と聖奈は呼ぶことができたから、まずはこの二人から聞いてみたら?」
「ありがとうございます」
「教室に呼び出しておいたから、案内するわね」
式たちは吉野の案内で教室に向かった。