第8話 容疑者推理
文字数 1,627文字
これまで得た情報をもとに、式たちは人物相関図や時系列表などを作成した。
情報を整理することは出来たが、特別何かわかったわけでも、新たな発見があるわけでもない。
「うーん、正直これだけじゃ犯人の目星すらつかないなあ」
「吉野先輩は何か心当たりがあるみたいですね」
「そうみたいだね。一体何に気づいたんだろう」
それについては、後で吉野に確認してみる必要がある。
「一番最後に通話したのが瀬尾さん、一番最後に被害者とコミュニケーションをとっていたのが水瀬さんですね。この二人が怪しいのではないでしょうか」
榊が時系列表を見ながら言う。
「確かに、被害者に対して何らかのアクションができたのは時間的にこの二人だ。瀬尾さんは電話で何かを話していたかもしれないし、水瀬さんはゲーム内で言葉のやりとりをしていたかも」
「ですがいずれも推測の域を出ませんね」
「……通話内容って、調べることはできないんだよね?」
「通話していた人たちが録音をしていない限りは無理ですね。携帯会社や警察が持っているのは、あくまでも誰と誰が通話したか、という記録だけです」
犯人側が通話内容を録音する理由がないため、被害者が録音していなければ内容はわからない。
だが、あのグループに犯人がいたとすると、親しい友人との通話を録音する必要も意味もないため、通話内容を知るのは無理と言っていいだろう。
「瀬尾さんが何を話していたのかを知るのは無理だから、とりあえず置いておこう。次は水瀬さんだけど、最近のゲームってゲーム内で会話をしたりできるよね」
「チャット機能はついていますから、その記録が残っていればいいのですが。それは隼人兄さんもわかっているでしょうし、調べると思いますよ」
「音声での通話ってできないの?」
「もちろんその機能がついているゲームもありますが、大抵は通話アプリなどを使用していますね。そちらの方が音質もいいですし」
逆に言えば、音質を求めずとにかく誰にも気づかれずに通話することを目的としているなら、可能性はあるということだ。
「てことは、水瀬さんはゲーム内で会話が出来た可能性は十分あるということだ」
「これについて、水瀬さんに来ておいた方がいいですね」
「うん。だけどどうやって連絡を取ればいいかな……」
「私に任せてください」
榊はスマホを取り出し、水瀬に電話を掛けた。
「って、なんで連絡先知ってるの!?」
「先程職員室に行ったときに、生徒名簿をみておきましたから。他の5人の連絡先も覚えていますよ」
脅威的な記憶力だな、と式は関心した。
「ダメですね、繋がりません」
しばらくコールしてもつながることはなかった。
「まだ学校に残ってないかな」
「わかりませんが、一応調べてみましょうか。彼女の教室に行ってみましょう」
式たちは水瀬のクラスへと向かった。
しかし中には生徒一人すら存在していなかった。もう既に下校した後なのだろう。
「誰もいないか……」
「いえ、待ってください」
榊が一つのロッカーに目を向ける。そこには水瀬の名前が書かれていた。
水瀬のロッカーを開けると、そこには鞄とフルートのケースが入っていた。
中を確認すると、鞄には教科書類やノートなどが入っていたが、フルートケースは空だった。
「鞄がここにあるということは、彼女はまだこの学校に残っているようですね」
「でもフルートケースには何も入ってない」
「今使用しているからでは?」
それにしてはおかしい。
もしどこかしらでフルートを使用するなら、ケースごと持ち運び、目的地に着いたらその場で取りだせばいい。
だがこの状況だとフルートのみを持ち出してどこかに行っていることになる。
「一応吹奏楽部の部室に行ってみようか。もしかしたら水瀬さんがいるかもしれないし」
「そうですね」
二人は吹奏楽部の部室へと向かった。
情報を整理することは出来たが、特別何かわかったわけでも、新たな発見があるわけでもない。
「うーん、正直これだけじゃ犯人の目星すらつかないなあ」
「吉野先輩は何か心当たりがあるみたいですね」
「そうみたいだね。一体何に気づいたんだろう」
それについては、後で吉野に確認してみる必要がある。
「一番最後に通話したのが瀬尾さん、一番最後に被害者とコミュニケーションをとっていたのが水瀬さんですね。この二人が怪しいのではないでしょうか」
榊が時系列表を見ながら言う。
「確かに、被害者に対して何らかのアクションができたのは時間的にこの二人だ。瀬尾さんは電話で何かを話していたかもしれないし、水瀬さんはゲーム内で言葉のやりとりをしていたかも」
「ですがいずれも推測の域を出ませんね」
「……通話内容って、調べることはできないんだよね?」
「通話していた人たちが録音をしていない限りは無理ですね。携帯会社や警察が持っているのは、あくまでも誰と誰が通話したか、という記録だけです」
犯人側が通話内容を録音する理由がないため、被害者が録音していなければ内容はわからない。
だが、あのグループに犯人がいたとすると、親しい友人との通話を録音する必要も意味もないため、通話内容を知るのは無理と言っていいだろう。
「瀬尾さんが何を話していたのかを知るのは無理だから、とりあえず置いておこう。次は水瀬さんだけど、最近のゲームってゲーム内で会話をしたりできるよね」
「チャット機能はついていますから、その記録が残っていればいいのですが。それは隼人兄さんもわかっているでしょうし、調べると思いますよ」
「音声での通話ってできないの?」
「もちろんその機能がついているゲームもありますが、大抵は通話アプリなどを使用していますね。そちらの方が音質もいいですし」
逆に言えば、音質を求めずとにかく誰にも気づかれずに通話することを目的としているなら、可能性はあるということだ。
「てことは、水瀬さんはゲーム内で会話が出来た可能性は十分あるということだ」
「これについて、水瀬さんに来ておいた方がいいですね」
「うん。だけどどうやって連絡を取ればいいかな……」
「私に任せてください」
榊はスマホを取り出し、水瀬に電話を掛けた。
「って、なんで連絡先知ってるの!?」
「先程職員室に行ったときに、生徒名簿をみておきましたから。他の5人の連絡先も覚えていますよ」
脅威的な記憶力だな、と式は関心した。
「ダメですね、繋がりません」
しばらくコールしてもつながることはなかった。
「まだ学校に残ってないかな」
「わかりませんが、一応調べてみましょうか。彼女の教室に行ってみましょう」
式たちは水瀬のクラスへと向かった。
しかし中には生徒一人すら存在していなかった。もう既に下校した後なのだろう。
「誰もいないか……」
「いえ、待ってください」
榊が一つのロッカーに目を向ける。そこには水瀬の名前が書かれていた。
水瀬のロッカーを開けると、そこには鞄とフルートのケースが入っていた。
中を確認すると、鞄には教科書類やノートなどが入っていたが、フルートケースは空だった。
「鞄がここにあるということは、彼女はまだこの学校に残っているようですね」
「でもフルートケースには何も入ってない」
「今使用しているからでは?」
それにしてはおかしい。
もしどこかしらでフルートを使用するなら、ケースごと持ち運び、目的地に着いたらその場で取りだせばいい。
だがこの状況だとフルートのみを持ち出してどこかに行っていることになる。
「一応吹奏楽部の部室に行ってみようか。もしかしたら水瀬さんがいるかもしれないし」
「そうですね」
二人は吹奏楽部の部室へと向かった。