猫たちの七夕舞

文字数 297文字

さても今宵は七夕の 
星合いの時と聞きおれど
空には雲の垂れ込めて
白き糸ぞ降り注ぐ

猫ども広場に集い来て
雨雲を仰ぎ「なお」と鳴けば
願いの声は届きしか
夕陽が描く虹の弓

やれ嬉しや この夕べ
七夕姫をも迎えんと
猫ども花を飾りたて
笛や鼓も賑やかに
星まで届けと歌いまする

歌えや(はや)
てんでの手拍子足拍子

中より()でたる猫ふたり
赤と白の毛をかぶり
獅子の姿で舞いまする

獅子は花に(たわぶ)れて
()に酔うごとくに(かしら)振り 

さんさんはらりと 舞いまする
ひいらりころころ 舞いまする

草木の上に置く露は
はらりはらりと地に注ぎ
暗き天には光満ち
きらりきらりと地を照らす

万歳(ばんぜい)千秋(せんしゅう)と舞い納め
万歳千秋と舞い納めて

獅子は猫に戻りまする
猫の姿に戻りまする


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