がさごそ薮の中の猫

文字数 621文字


てっとぽ、てっとぽ、とてぽっぽ。
色づき始めたミカンのしたを、
だいだい色の猫がゆく。
茶色く染まった草をかきわけ、
緑のやわ草踏みしめて。
みんなもぞろぞろついてゆく。


黄色いセイタカアワダチソウと、
パリパリ乾いたヨモギ草。
奥にこんもり埋もれているのは、
どっさり実の生るキウイだ。


てっぽこ、てっぽこ、ぽてとっと。
ここまで歩いてきたけれど、
ここから先は行き止まり。
はてさて一体どうしよう。
困り顔して立ち止まる。


キウイの葉っぱの間には、
赤い実つやつや光ってる。
キウイのツルにカラスウリ。
不思議なこともあるもんだ。



ざっざか、ざっざか、がっさがさ。
負けるな進め、猫たちよ。
秋も終わりのこの季節。
ヤブ蚊もいないぞ、へっちゃらだ。


タイガーアイかゴールドストーン。
はたまたブラウンムーンストーン。
くるくる絡むツル草に、
ころころこぼれる小さな実。
ヘクソカズラよ、早乙女花よ。
虫も嫌がる臭い草。
冬になれば臭くない。
クリスマスリースにちょうどいい。


ずるずるツルをひっぱれば、
ひょっこり顔出す青キンカン。
秋の日ざしをたっぷり浴びて、
おいしくなる日を待っている。


ごそごそ、ごっそり、もっそもそ。
お日さまポカポカいい天気。
とろとろまぶたが重くなる。
猫は野道を引き返す。


すっぽり、こっそり、まったりこ。
ほどよく日陰で暖かい、
枯れて乾いた草の上。
見つけた隠れ()独り占め。

ゆうらり、ゆうらり、そ~よそよ。
風がひいやりするまでは、
ここでいったんひと休み。
ごろごろ、ぐうぐう、ひとやすみ。
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