第11話 衝動
文字数 322文字
俺はバスの中に頭から血を流している彼女を見つけて血の気が全身から引いた。
駆け寄る勇気もなくただオロオロと救急隊が彼女を担いで行くのを眺めていた。
「クソッ!死なせてくれ!」
バスに飛び出した男はそんな悪態を
俺はしばらくしてなんとか立ち上がるとフラフラと彼女の乗った救急車に乗せてもらった。
彼女は一命は取り留めたものの意識は戻らなかった。
医者はもし意識が戻っても重い後遺症が残るかも知れないと話した。
その後どうやって帰ったのかは覚えていない。
俺は部屋にあるキューブのオブジェを掴むとやおら壁に叩きつけた。
壁は凹んだがキューブは無傷だ。
八つ当たりをしても気は晴れない。
俺は自分の頭を何度も殴りつけたい衝動に駆られた。