第10話 願いが叶う時

文字数 913文字

気がつくと朝になっていた。

ガバッと起き上がると同時に手になにやら握ってる事に気付く。

キューブだ。

「え?」

正四面体は閉じている。

開いていたと思ったのは目の錯覚だったのか?それとも……夢?

「なんだよ」

俺はそれをテーブルに置くと仕事に行く支度を始めた。

これを持ち帰ってた奴が変死体になってないことは昨日上司に報告したが失踪した件について何か訊かれるかも知れない。

俺は浮かない顔で一人暮らしの部屋を出た。

昨日の不思議な体験のせいなのかまだ足元がなんとなくふわふわしている。

外付けの階段を降りる時にあと3段くらいという所でふらついてよろけた。

「うわぁ!」

咄嗟にジャンプした俺は受け身を取ろうとした……が、なぜか一向に足が地面につかない。

あれ、おれ、、、浮いてる?

厳密には受け身を取ろうとした状態でフワリと浮いていた。

「な、な、なんじゃこりゃあ!」

なぜ?浮ける?

俺はしばらくそうしていたがゆっくりと下に下がる様にイメージするとその通りに下降して地面についた。

「まさか……これって」

念動力(サイコキネシス)

すごい!まさか!本当の!本当に!

俺は疑いながらも色んな目の前にあるもので試してみたが、、、間違いない!

その辺の石ころもバットも自転車も思い通りに動いた。

俺は何回も心の中でガッツポーズを取った!

ーーーこれは……人生イージーモードってことか?!

でもあんまり騒がれるのもアレかな?

有名人になりすぎるのも危険かもしれない。

軍とか色んな人の標的にされるかも知れないし、いくら超能力者と言ってもどこぞの軍を相手にはひとたまりもない気がした。

、、、今のところ誰にも見つかってないよな。

俺はそんな事をグルグルと思案しながら人気(ひとけ)のない裏路地から表参道に出た。

キキーー!!!

俺の思考を遮る様な激しいブレーキ音にハッと我に返る。

見ると道路に飛び出した男が今にもバスにぶつかるところだった。

咄嗟に俺は思ってしまった!

止まれ!!!

ドン!

凄い音がしてバスが止まった。

パシャーーーン!

それと同時にバス内の全部の窓が割れて飛び散った。

俺は考えてなかった……スピードを一瞬でゼロにする時かかるGは凄まじいという事、そして……そのバスに彼女が乗っている可能性があるのだと言う事を、、、。
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