第10話直美としがない中年男性

文字数 603文字

三日目の夕方私の携帯に連絡が入った。
私の携帯に連絡が入るという事は探偵社以外になかった。
すぐに探偵事務所に向かい新川家の家系図と今現在の新川家がどうなっているのかを記した書類と、三人の写真を手に入れた。
思った通り直美は養子と戸籍に記載されていた。
そしてやはり新川家には実子はいなかった。
直美は小さい頃から活発な女の子で中学からはテニス部に所属していた。
中学では県大会優勝して、高校二年ではインターハイでベスト八に入るくらい活躍していた。
母親は体が弱く入退院を繰り返していた。
その上父親にも昨年癌が発見して先月から放射線治療のため、入院していた。
高校三年生になる直美は二年の冬からバイトを始めて、三年になってからは掛け持ちバイトをするようになり、帰りはいつも九時前になり、それより前に家に帰れる日などなかった。
入院している父には土曜日のバイトの合間の四時に見舞いに行く。
この時間しか見舞いに行ける時間がないのだった。
(またすごいハードなスケジュールだな!)
と思いながら、直美の写真を手に取った。
私はそれをみた瞬間、脳裏に稲妻が走ったのだ。
イヤ、参った。降参だ!
私の理想の女の子の写真を見せろと言われたら、真っ先にこの写真を出す。
美人は美人だが、嫌味はなく、可愛らしい男好きのする顔であった。
私は直美のバイト先に行く事にした。
とりあえず実物の直美をこの目で見たかったのだ。
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