怒りを超えて笑える歯医者
文字数 1,847文字
ちょっと前の話。
歯医者に通い始めて早4ヶ月。
人気のある歯医者で、1ヶ月に1、2回しか予約が取れません。
そんなことでその日、ようやく治療した虫歯に銀歯を被せる時がやってきました。
この歯医者、腕は良いと評判ですが、なぜかいつも新人っぽい助手ばかり池乃にあてがいます。
先日も新人の助手が先生が指示した器具を何回も間違って渡すわ、歯に詰めるパテみたいなモンの種類を3回ぐらい間違うわ、挙句にパテを長々とこねくり回して、先生に「早くしないと固まるだろ!」と怒られるわ…。
先生がピリピリするのでこっちがいらん気を使います。
で、その日、銀歯を被せるにあたり、そう難しくない作業だからか見習いみたいな人が1人でやることになりました。
池乃の歯の土台に銀歯をつめるときつすぎて入らないらしく、
「この親知らず邪魔やな~。先生は何か言ってなかった?」
と聞くので、
「一番最初の時に抜くかどうか訊かれたんで、抜いてもええとはいいましたけど…」
というと、う~んう~んと何度も親知らずを見て何かを思案しています。
前回「次は被せて終わりです」と先生が言っていたのに、今日、今いきなり歯を一本ぶち抜くなんてことになったら、ちょっと心の準備が…。ということで、
池乃「あの~、抜かんと銀歯、入りませんの?」
見習い「そうでもないですけど、親知らずも虫歯になりかけてますしねぇ」
池乃「銀歯被せてから親知らずの治療はできますのん?」
見習い「出来なくもないですが、出来れば被せる前に抜いたほうがいいですねぇ」
…しゃあない。ぶち抜くか!意を決して、
池乃「もし被せのじゃまになるんやったら、もう抜いてしもて下さい!」
見習い「いや~、池乃さんの場合痛みが出てないんで、今すぐぬかないといけなくはないですよ」
どっちやねんっ!抜く気が無いならいらんプレッシャーかけんな!
らちがあかんので、
「じゃあ抜かんと被せて下さい」
さっそく見習いが銀歯を被せますが、キツキツで銀歯が思いっきり浮いているのが、舌触りで分かります。
見習いが何回も抜き差しした後、
「ちょっときついんで銀歯削りますね~」と言うたかと思ったら、顔のすぐ横で銀歯に霧吹きみたいなモンをかけて、池乃の顔面に思いっきり水がかかってます。
「怒!…、いやいや、ここで怒ったらアカン。相手は新人さんやし」
しばし削った後、再チャレンジしますが全く入りません。
何回かチャレンジして無理だと悟り、別の席で治療中の先生に泣きつきます。
『先生~~、最初からあんたがしてくれよ~~』
ホッとしたのもつかの間、先生が専門用語で指示したら、見習いはすぐに戻ってきました。
『おい先生、待ってくれ!俺とこいつを二人きりにしないでくれ!』
見習いがまた銀歯を削り(銀歯相当小さくなってんのちゃうか)、はめ込みます。
途中まではめ込んだ後、何かを奥歯で噛むよう指示されます。
舌で触った感じではだいぶ銀歯だけ盛り上がってるし、確実にはまりきってません。
見習い「隣の歯を押してるような違和感あります?」
ある!めっちゃある!が、もう面倒くさいので、
池乃「まぁこんなもんかなっていう感じです」
見習い「そうですかぁ?まだはまってないんやけどなぁ」
なら聞くなっ!お前B型か?いやB型だろ!俺もやけど!
で見習い、今はめた銀歯を取ってまた削るつもりなんでしょうが、ギッチギチにはまっているので抜けません。
手で引っ張ったり何かで引っ掛けて抜こうとしたり、さんざんアタフタした挙句ノミと金づちみたいなモンでガンガンやりはじめました。
ちょ、ちょっと冷静になれ見習い!それはちゃんとしたやり方なのか??
別の席から先生が「まだ終わりませんか?(早よやらんかい!)」との声に、「ちょっとずつ削ってるところですよっ!」と見習いなぜか半ギレ。
どう考えてもお前が悪いぞこの場合。
ノミと金づちでガンガンやって、やっと取れたと思ったら今度は口の中に銀歯を落とす始末…。
飲み込んだらどうするつもりや…。
もうここまできたら、怒るを通り越して「とりあえずやれるだけやってみ」と、達観した気持になります。
で、また削る時に顔に霧吹き!削り終わって歯を差し込むときに舌に銀歯が触れたら摩擦でちょっと熱くなっててびっくり…。
で、ようやくはまったとき、
「よっしゃ!完璧や!完璧ですよね!」
…言う?それ自分で言っちゃう?ほんで聞く??
…まぁええわ。ようやったよあんた。
で、今この時間まで銀歯がポロッと抜けんか心配でしたが、なんとか大丈夫そうです。
しかし歯を削る時より怖かったぞ、見習いよ…。
歯医者に通い始めて早4ヶ月。
人気のある歯医者で、1ヶ月に1、2回しか予約が取れません。
そんなことでその日、ようやく治療した虫歯に銀歯を被せる時がやってきました。
この歯医者、腕は良いと評判ですが、なぜかいつも新人っぽい助手ばかり池乃にあてがいます。
先日も新人の助手が先生が指示した器具を何回も間違って渡すわ、歯に詰めるパテみたいなモンの種類を3回ぐらい間違うわ、挙句にパテを長々とこねくり回して、先生に「早くしないと固まるだろ!」と怒られるわ…。
先生がピリピリするのでこっちがいらん気を使います。
で、その日、銀歯を被せるにあたり、そう難しくない作業だからか見習いみたいな人が1人でやることになりました。
池乃の歯の土台に銀歯をつめるときつすぎて入らないらしく、
「この親知らず邪魔やな~。先生は何か言ってなかった?」
と聞くので、
「一番最初の時に抜くかどうか訊かれたんで、抜いてもええとはいいましたけど…」
というと、う~んう~んと何度も親知らずを見て何かを思案しています。
前回「次は被せて終わりです」と先生が言っていたのに、今日、今いきなり歯を一本ぶち抜くなんてことになったら、ちょっと心の準備が…。ということで、
池乃「あの~、抜かんと銀歯、入りませんの?」
見習い「そうでもないですけど、親知らずも虫歯になりかけてますしねぇ」
池乃「銀歯被せてから親知らずの治療はできますのん?」
見習い「出来なくもないですが、出来れば被せる前に抜いたほうがいいですねぇ」
…しゃあない。ぶち抜くか!意を決して、
池乃「もし被せのじゃまになるんやったら、もう抜いてしもて下さい!」
見習い「いや~、池乃さんの場合痛みが出てないんで、今すぐぬかないといけなくはないですよ」
どっちやねんっ!抜く気が無いならいらんプレッシャーかけんな!
らちがあかんので、
「じゃあ抜かんと被せて下さい」
さっそく見習いが銀歯を被せますが、キツキツで銀歯が思いっきり浮いているのが、舌触りで分かります。
見習いが何回も抜き差しした後、
「ちょっときついんで銀歯削りますね~」と言うたかと思ったら、顔のすぐ横で銀歯に霧吹きみたいなモンをかけて、池乃の顔面に思いっきり水がかかってます。
「怒!…、いやいや、ここで怒ったらアカン。相手は新人さんやし」
しばし削った後、再チャレンジしますが全く入りません。
何回かチャレンジして無理だと悟り、別の席で治療中の先生に泣きつきます。
『先生~~、最初からあんたがしてくれよ~~』
ホッとしたのもつかの間、先生が専門用語で指示したら、見習いはすぐに戻ってきました。
『おい先生、待ってくれ!俺とこいつを二人きりにしないでくれ!』
見習いがまた銀歯を削り(銀歯相当小さくなってんのちゃうか)、はめ込みます。
途中まではめ込んだ後、何かを奥歯で噛むよう指示されます。
舌で触った感じではだいぶ銀歯だけ盛り上がってるし、確実にはまりきってません。
見習い「隣の歯を押してるような違和感あります?」
ある!めっちゃある!が、もう面倒くさいので、
池乃「まぁこんなもんかなっていう感じです」
見習い「そうですかぁ?まだはまってないんやけどなぁ」
なら聞くなっ!お前B型か?いやB型だろ!俺もやけど!
で見習い、今はめた銀歯を取ってまた削るつもりなんでしょうが、ギッチギチにはまっているので抜けません。
手で引っ張ったり何かで引っ掛けて抜こうとしたり、さんざんアタフタした挙句ノミと金づちみたいなモンでガンガンやりはじめました。
ちょ、ちょっと冷静になれ見習い!それはちゃんとしたやり方なのか??
別の席から先生が「まだ終わりませんか?(早よやらんかい!)」との声に、「ちょっとずつ削ってるところですよっ!」と見習いなぜか半ギレ。
どう考えてもお前が悪いぞこの場合。
ノミと金づちでガンガンやって、やっと取れたと思ったら今度は口の中に銀歯を落とす始末…。
飲み込んだらどうするつもりや…。
もうここまできたら、怒るを通り越して「とりあえずやれるだけやってみ」と、達観した気持になります。
で、また削る時に顔に霧吹き!削り終わって歯を差し込むときに舌に銀歯が触れたら摩擦でちょっと熱くなっててびっくり…。
で、ようやくはまったとき、
「よっしゃ!完璧や!完璧ですよね!」
…言う?それ自分で言っちゃう?ほんで聞く??
…まぁええわ。ようやったよあんた。
で、今この時間まで銀歯がポロッと抜けんか心配でしたが、なんとか大丈夫そうです。
しかし歯を削る時より怖かったぞ、見習いよ…。