さびれたゲーセンの謎

文字数 1,857文字

これは娘がまだ6歳のころに、カミさんの実家に帰ったときの話です。

昼過ぎに娘がゲームをしにいきたいと駄々をこね始めまして、きけばカミさんと2人で実家に帰ったときは、だいたい近所のスーパーのゲームコーナーに行くとのこと。
で、娘と二人で出かけることにしました。

スーパーは、いわゆる町民区民御用達の田舎のスーパーという感じです。
その2Fに、寂れすぎて『わびさび』すらかもし出してる古びたゲームコーナーがありました。

客は母親、もしくはおばあちゃんと子供らが何人か。
青少年等は全くいません。

娘がすぐに「これ乗りたい!」と100円で動くドラえもんの乗り物に乗ったので、池乃も隣に乗りこみます。
しかしこれ、あちこちひび割れてテープとかで補修してあって、もはや骨董価値すら出かかっているような乗り物…、動くのか!?

試しに100円入れてみると、異音を発しながらギクシャク動き始めます。
ドラえもんが何か言っているようですがスピーカーがおかしくて聞き取れず、画面にボタンを押すような指示が出ていますがボタンはいくつか壊れています。

まぁそんなんでも娘が楽しそうに乗っているので良しとしていると、ゲームコーナーの店番のおっちゃんが「これどうぞ。」と半券を池乃に渡しにきました。
受け取って見ると、『乗り物サービス券』という手作り感満載のチケット。
『乗り物5回乗ると1回サービス』だそうです。

良心的なのはわかります、が、このゲームコーナーの乗り物といえば、このドラえもんと、アンパンマンのミニメリーゴーランドの2つのみです。

ということは、『この2台を2度3度繰り返し乗ったあげく、無料サービスでまた同じのに乗る』ということになります。
今、池乃と娘はドラえもんに乗ってますが、1回目の運転の終了を待たずその単調さに飽きかけてます。
このサービス券はおそらく帰りにゴミ箱に捨てることになると思いますが、そんなことはおっさんにはよう言いません。
ありがたく頂戴しておきます。

で、次に一応娘がアンパンマンのミニメリーゴーランドに乗るというので、池乃も娘と違う馬に乗り込みます。
すると、このメリーゴーランドには3頭の木馬があるのですが、空いている1頭に他所の子供が乗り込んできました。
その母親が急いで止めに来たので、池乃が「どうせ何人でも同じ料金なんで、一緒に乗ってもらっても良いですよ」と言うと、その母親は引きつった顔で全力で断ってきました。
幼児用の木馬にまたがった白髪だらけの中年が、どうもキモすぎたようです。

メリーゴーランドが回り出すと、またおっちゃんがきてサービス券を池乃に渡します。
だからいらんっちゅうのに…。

で、娘が今度はメダルゲームをやりたいと言い出しました。
いくつかメダルゲームはありますが、3分の1くらいは画面がピンボケだったり、焼け付いて何が映っているのかわからないものだったり、そしてボタンはほとんどが壊れています。

まぁええかと思いメダルの両替をすると、100円で11枚出てきます。
最近では100円で5枚とか、もっと少なかったりとかいうところが多いので、さすが田舎、ひじょうに良心的です。

しかし11枚もあっという間にスり、もう100円両替しましたが、その11枚もすぐになくなりました。

で、3回目の両替に向かうと、例のゲームコーナーのおっさんが、「両替するならこれをやったほうが得やで」とスマートボールをすすめてきます。
100円のスマートボール。
縦、横、斜めにボールが揃うと、その役によって15枚、20枚、30枚とメダルがもらえます。
おっさんが言うに、「ハズレなら20枚なんで」
…??
ハズレでそんなにもらえるのか?
言うてることがさっぱりわからないままに、娘とスマートボールをすることにしました。
てこずって惜しいところまでいったものの、結局ハズレ。
あかんかったか~とその場を去ろうとした時、おっさんがカップを持って娘に手渡します。
見ると、メダルが20枚入ってます!

なんと!言葉どおりか!!
てか、どういうシステムなんだ!??

両替機で普通に両替すると100円で11枚のメダル。
スマートボールをすれば、はずれても100円で20枚。
でもスマートボールで1列揃う(一番安い役)のみだと15枚のメダル・・・??
それと先の乗り物サービス券…。

なんかこのゲームコーナーのサービスがカオスすぎて全く理解できません。
おそらくおっさんは池乃のはるか先を行ってて、凡人池乃の考えなど遠く及ばないのでしょう。
とにかく、娘がけっこう楽しんでたので、それで万事OKでした。
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