不審者VS池乃!

文字数 992文字

いつものように自転車でフラフラ帰宅する途中の出来事です。

数メートル先で、見ず知らずの男が池乃に向かってなにやら叫んでいます。

細身メガネで軽く七三分け。今どきタータンチェックのシャツをきっちりズボンの中に入れています。
そして振りかざす手にはゴーオンジャーが変身するときに使うようなチャチなオモチャの携帯のようなものを持ってます。
そんでもって池乃の方を向いて「止まれ、止まれ!」と連呼しています。
みるからにアキバからの使者です。

「異常者か!?いや、異常者だ!間違ってもお近づきにはなりたくないっ!」

無視して行こうとすると走りよってきて強引に止められてしまいました。

「終わりや…。全て終わりや…。このままこいつに拉致されて一生アキバで女装メイドとしてこき使われるんや…。」

その男が池乃の自転車をつかみながら、その石器時代のものかというようなバカでっかい携帯でなんかしゃべったかと思うと、同じような奴らが2人池乃が来た方角から駆け寄ってきました。

「なんや??何が始まるんや??池乃に同じ匂いをかぎつけたかとでもいうのか?池乃もそっち系に片足突っ込んでるけど、本職の方々には到底ついていけへんで!?」

すると最初の男が、
「これ、君の自転車?」

「はぁ??」と池乃。
全く事態が飲み込めません。

「鍵がないようやから、ちょっと調べさせてもらってもええかな?」
そういってゴーオンジャー携帯を自慢げに見せびらかしよるんですが、ここでようやく、

「え、もしやこいつら私服警官!?で、このオモチャみたいなチャチなモンが今の警察手帳ですか!?」

その警察手帳、安いプラスチックでできたような、娘が昔持ってたプリキュアの変身携帯とそっくりなんですな。
そら、そんなモン持った特撮オタみたいなんが寄ってきたら、誰でも「現実と虚構の区別がつかんようになった危ない奴だ」と思いまっせ!

ほんでまぁ池乃の自転車も、鍵を無くして自分で鍵を破壊して乗ってる雨ざらしでボロボロの自転車ですし、防犯登録調べたら、もともと貰い物なんでぜんぜん違う名前で登録してあるとか言って変な目で見よるし・・・。

いや、いやいやいや、怪しいのはお互い様ですよ!
というか、お前らの方が怪しいって!

特撮オタに囲まれて変な目で見られてるやさぐれたおっさんの姿は、周りの人の目にはどのように映ったんでしょうね。
誤解は解けてすぐ開放されましたが、なんかキツかったです。
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