剣士の少年
文字数 1,693文字
時刻は午後一六時を過ぎた頃。
小倉中学校三年職種決闘部部長、宮野透子は足早に廊下を歩き、勢いよく部室へと入り込んだ。
副部長の鷹野拳一朗の言葉に透子は静かに首を横に振った。
部員たちにそう告げて透子は最後の一人を探すべく、部室から去って行ったのだった。
×××
結局、メンバーが見つかる事無く部活も終わり、透子はどうしたものかと頭を抱えながら帰路を歩いてた。
怒鳴り声が聞こえた方へと視線を向けるとそこには四人の不良と小さな男の子を庇う透子とそう齢の変わらない少年の姿があった。
『剣士』―――それは職種決闘に置いて人気の職種札の一つ。
鎧や剣のデザイン、そしてその扱いやすさから親しまれている。
不良たち四人は荒々しくも攻撃の連携が出来ていた。
しかし、少年が一枚上手なのか、不良たちの攻撃を次々とかわして反撃する。
その素早く無駄の無い太刀筋に対処出来なかった不良たち四人の内三人が諸に喰らってドロップアウトしていく。
少年は変身を解き、不良たちに虐められていた男の子を逃がした。
不良のリーダー核らしき男は『行くぞ』と仲間たちに言って少年の前から去っていったのだった。
透子は少年の片腕に自身の腕をがっちりと絡ませ彼の動きを止めた。
力任せに少年は透子の腕を振り解き脱兎の如く走って去って行ったのだった。
悪人顔負けの悪い笑みを浮かべながら透子は少年を部活に引き入れる作戦を練りながら帰路へと着くのであった……。