拳一郎の苦悩
文字数 752文字
小倉中学校職種決闘部副部長の高野拳一郎は頭を抱えて悩んでいた。
思い出したくもないのについつい浮かび上がる自分を見下す高飛車女の顔。
その度に歯軋りを鳴らし、拳を強く握り締めた。
それだけではない。
突然微風の如く現れ、高飛車女を圧倒した後藤優斗。
彼の入部により、更に自分の存在意義が現在危ぶまれている。
このままではいけない。
そう思う程悔しさと焦りが入り混じり、次第に苛立ちに変貌を遂げ、遣る瀬無くなった拳一郎はコンクリートの壁に力いっぱい拳を入れた。
こうしてはいられないと感じた拳一郎は足早に部室へと向かって行った。
勢いよく頭を下げて頼んできた拳一郎に、透子は何も聞かずただ口元を緩めた。
こうして拳一郎は透子の指導の下で特訓することになった。
内容は至ってシンプルなものだった。
職種決闘をしながら拳一郎に透子が技を教える。
それにより拳一郎はみるみると『闘士』の職種札で使える技術を習得していった。
特訓を繰り返す事二週間……。
透子の特訓により強くなっていく拳一郎に、隆太は誰にも気づかれない様にそっと拳を強く握り締め、決意を決めるのであった。