拳一郎 VS 隆太

文字数 1,014文字

小倉中学にある闘技場の上で、拳一郎と隆太は互いを睨み合っていた。
これからお互いの成果を見せるために職種決闘をするのだ。
アンタたち、準備はいいね?
いつでも良いぜ。
宮ちゃん。
俺も問題は無い。
二人の言葉を聴いて、透子はそっと右手を上げた。
始め!!
グローリー・オア・フラストレーション!!
グローリー・オア・フラストレーション!!
掛け声と共に二人は職種札に魔力を込め、それぞれの『職種』に変身した。
行くぜ、影山ぁっ!!!!
来いっ!!
鷹野!!
先に動いたのは拳一郎だ。
獲物を狩りに行く豹の如くスピードで隆太との距離を詰めると渾身の右ストレートをお見舞いした。
だが隆太は焦る事無く半歩下がりながら拳一郎の拳を受け止めた。
まだだっ!!
拳一郎は素早く殴る蹴るのラッシュをする。
大雨の様に降りかかる攻撃を隆太はどれが効率的か必死で頭の中で計算しながら上手く攻撃をかわす。
ふ、二人とも凄い……!!
無駄の無い攻撃と防御をしている……!!
アイツ等も透子と同じ気持ちなんだよ。
勿論、俺も。
優斗は小太郎に顔を向けて言葉を続ける。
桐谷はどうなんだ?
へっ……?
いつまでだんまり決め込むつもりだ?
彼の言葉に、小太郎はばつの悪い顔を浮かべながら言葉を詰まらせた。
そう言われても文句が言えない理由が小太郎にはあるからである。
(僕は……)
オラァッ!!
フッ!!
強くなったじゃねぇか!!
影山ぁっ!!!!
お前の方こそ!!
気が付けば二人の口角は上がっていた。
今まで仲が良いだけの部活仲間だと思っていた。
だがそれはこの試合の中で互いを親友、『好敵手』として認め合う様になったのだ。
二人は距離を取り、呼吸を整える。
(僕は……!!)
小太郎が拳を強く握り締めたと同時に拳一郎と隆太の二人は駆け抜け互いの距離を詰める。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおっ!!!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおっ!!!!
そこまでだ!!
二人の拳が互いの頬に触れる寸前で透子が試合を中断させた。
二人共。
よくやった。
今ここで互いの実力の差を見せなくても良いだろう。
続きは全国を取ってからだ。
彼女の言葉に拳一郎と隆太は「それもそうだな」と笑って互いに握手を交わした。
着々と力がついてきてるな。
このチーム。
ああ!!
この調子で全国を目指そう!!
その前にまずは予選突破だな。
どんな敵もぶっ潰してやるぜ!!
話が盛り上がる中、小太郎は一人、拳を握りしめたまま彼らを見つめていた。
(僕は……)
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登場人物紹介

後藤優斗(旧名:前田優斗)

小倉中学校三年。
使用職種札:剣士
小等部六年の頃、父が他界したことで職種決闘のプレイを控える事に。

宮野透子

小倉中学校三年。
使用職種札:闘士
小倉中学校職種決闘部部長を務めている。
明るく陽気で男勝りな性格の持ち主。
『神の世代』の中で最強を誇る。

鷹野拳一郎

小倉中学校三年。
使用職種札:闘士
小倉中学校職種決闘部副部長を務めている。
気性が荒い。
透子の事を『宮ちゃん』と慕っている。

影山隆太

小倉中学校三年。
使用職種札:暗殺者
透子の幼馴染。
穏やかな性格をしている。

桐谷小太郎

小倉中学校一年。
使用職種札:銃士
内気な性格をしており、常に自分の気持ちを抑えている。

神条白銀

聖薔薇学園三年。
使用職種札:剣士
『神の世代』の一人。
聖薔薇学園職種決闘部部長を務めている。

眞壁紅

聖薔薇学園三年
使用職種札:闘士
『神の世代』の一人。
部長の白銀を酷く崇拝している。

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