拳一郎 VS 隆太
文字数 1,014文字
小倉中学にある闘技場の上で、拳一郎と隆太は互いを睨み合っていた。
これからお互いの成果を見せるために職種決闘をするのだ。
二人の言葉を聴いて、透子はそっと右手を上げた。
掛け声と共に二人は職種札に魔力を込め、それぞれの『職種』に変身した。
先に動いたのは拳一郎だ。
獲物を狩りに行く豹の如くスピードで隆太との距離を詰めると渾身の右ストレートをお見舞いした。
だが隆太は焦る事無く半歩下がりながら拳一郎の拳を受け止めた。
拳一郎は素早く殴る蹴るのラッシュをする。
大雨の様に降りかかる攻撃を隆太はどれが効率的か必死で頭の中で計算しながら上手く攻撃をかわす。
優斗は小太郎に顔を向けて言葉を続ける。
彼の言葉に、小太郎はばつの悪い顔を浮かべながら言葉を詰まらせた。
そう言われても文句が言えない理由が小太郎にはあるからである。
気が付けば二人の口角は上がっていた。
今まで仲が良いだけの部活仲間だと思っていた。
だがそれはこの試合の中で互いを親友、『好敵手』として認め合う様になったのだ。
二人は距離を取り、呼吸を整える。
小太郎が拳を強く握り締めたと同時に拳一郎と隆太の二人は駆け抜け互いの距離を詰める。
二人の拳が互いの頬に触れる寸前で透子が試合を中断させた。
彼女の言葉に拳一郎と隆太は「それもそうだな」と笑って互いに握手を交わした。
話が盛り上がる中、小太郎は一人、拳を握りしめたまま彼らを見つめていた。