第16話 甘)「ブルースの女王」の酒

文字数 1,018文字

 きっかけはCDショップで手に入れたフリーペーパーでした。その号の特集企画が「ミュージシャンと酒」というものだったんです。
 音楽と酒……特にブルースやロックといったジャンルとお酒は密接に関わってますよね。「ウィスキーラッパ飲みして、泥酔しながらレコーディングした」とか、真偽のほどが定かでない逸話もよく聞きますし(笑)
 その特集企画では、名だたるミュージシャンが愛飲していたお酒が、楽しいウンチクとともに紹介されていました。ビール、ウィスキー、ウォッカ……いろいろと紹介されていた中で私が好きになったのが、ジャニス・ジョプリンがステージ上でも飲んでいたというお酒、「サザン・カンフォート」というリキュールでした。
 
 当時の私はビールをとっかかりとしてちょうどお酒を飲み始めたころで、好奇心からいろいろなものを試していました。そのフリーペーパーで紹介されていたいろんなお酒も、入手可能なものはすべて飲んでみました。その中で唯一「おかわり」したのがこのと~っても甘いリキュールなんです。そもそも「リキュール」なんて言葉も知らなかった、今と変わらず無知な私(笑)。

 地元のリカーショップで手に入れた「サザン・カンフォート」。興味津々で一口。その甘さと、桃をメインとしたふんわりと気分のアガるフレーバーに、
 「こんなお酒もあるんだ!お酒って苦いやつだけじゃないんだ!」
と、うれしい驚きを覚えたことをはっきりと記憶しています。これがきっかけで、私のお酒の世界が一気に広がったのは間違いない。いや~あれは衝撃でしたね。そして、若かったなあ(笑)
 その「サザン・カンフォート」。オレンジジュースで割って、パインジュースで割って、はたまたジンジャーエールで割って……そうやってそれぞれ飲みやすい、ほとんどジュースみたいにして楽しむのもいいですが、私が一番好きな飲み方は、オン・ザ・ロックでちびちびとやるスタイルです。甘さを噛みしめながら、ふんわりフレーバーで脳を楽しませながら。

 ちなみにジャニス・ジョプリンが実際に飲んでいた当時の「サザン・カンフォート」と現行のものとでは、ベースとなっている原酒もアルコール度数も違うので、飲み比べればずいぶんと違う印象を持つことと思います。残念ながら当時の100パーセントリアルな味を試すことはできませんが、それでもその面影は感じられているのかな?

 偉大なるミュージシャンと素敵なお酒に乾杯。ごちそうさまでした。
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み