第13話 「玉藻塩」の塩むすび

文字数 1,318文字

 山形県鶴岡市を抜けて、これまた新潟県北部、村上市を目指して旅していたときのことです。
 
 風光明媚な海岸線を車で南下していたとき、ふと道沿いのお店が目につきました。何やらお塩の直売所?らしきお店が。とりあえず広めの駐車場に入ってよく見てみると、塩作りをしている工房だということがわかりました。なるほど日本海沿岸のこの場所では、お塩の製造が盛んなんですね。そこはお塩の直売もしつつ、同じ敷地内にカフェもあります。
 そのときは8月でしかも猛暑日。とにかく暑かったんです。
 「ちょうどいいや。ちょっと涼んでいこう。ソフトクリームでも食べよかね♪」
こんなノリで、お塩の工房なんて今まで入ったことがなかったので好奇心をくすぐられたこともあり、長距離運転の休憩がてら立ち寄ってみました。
 
 まずはカフェで「塩ソフトクリーム」なるものをいただきました。甘さの中に、たまに来る塩味が美味しゅうございました♪
 そして工房のほうへ。お塩の作り方を説明するパネルなどがあり、一通り作業工程を知ることができました。勉強になります。
 工房の中には直売コーナーもあり、真っ白で美しいものから何やら色のついたものまで、数種類のお塩が陳列されていました。私は味見コーナーにあった、しっとりとした薄茶色のお塩を少しだけ手に取って舐めてみました。
 その「玉藻塩」というお塩、「ホンダワラ」という海藻から抽出したエキスが配合されたものだそうで、旨味があり、舌に痛くない柔らかい優しい塩味がじんわりと美味いんです。
 そもそもこのあたりの海水は水質がとてもよくてきれいなんだとか。その上で、もともと少ない不純物をできるだけ取り去るために、何度も海水を濾す工程を踏まえているということでした。薪の直火で時間をかけて海水を熱し、丁寧に結晶化させることで、やっと製品、いや、「作品」に仕上がるわけなんですな。頭が下がりますです。
 
 私は作り手の気合と真心が感じられて感動し、その「玉藻塩」を少しばかりですが購入させていただきました。
 
 帰宅後、この「玉藻塩」で塩むすびをば。白飯に薄茶色の模様が入ったこの塩むすび、控え目に言って、最高でした!
 風味がいい。塩っ気が舌に痛くない。
 個人的な感じですが、普通の精製塩だったら間違いなく塩辛いだろうなぁというぐらい、「ちょっとふりすぎたかな?」くらいふっちゃってもぜんぜんOKでした。不思議です。なんだか「塩むすびの新境地」に踏み込めた気がしてなりませぬ。あと、枝豆にふっても大変美味しゅうございましたのでご報告まで(笑)
 
 ちなみにそのおにぎり、お米はご当地米の「岩船産コシヒカリ」にて。このお米もコシヒカリの特長そのまんまで、粒が大きくしっかりとした食感で素晴らしかったですねぇ~!「玉藻塩」と「岩船産コシヒカリ」の塩むすび……私にとっては「新潟村上式マリアージュ」の最高峰です(笑)
 ごちそうさまでした。

 余談です。
 この「玉藻塩」、先日近所のお店でも発見したんですよ。今までなかったはずなのに、「なぜに?」と思いましたが、大変うれしゅうございます。もちろんゲットしときましたよ♪旅のときみたいに小袋じゃなく、大きいヤツを、ね(笑)

 
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