第1話

文字数 3,894文字


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******************

「ご飯よ」と母親が言うと

みんなリビングに集まってきた。

父親は仕事から帰ってきて

風呂から上がったばかり。

武田翔太は新学期に提出する

五年生最後の課題を終えたばかり。

昨日入学式が終わった菜々美は

お人形を揃えたばかり。

この3LDKの二階家は

いつものように八時の夕食の時間になった。

「わぁ、今日は生姜焼きだぁ」

翔太が嬉しそうに叫んだ。

「テレビをつけて」

と父親が疲れた声で呟いた。

母親がテレビをつけると

臨時ニュースが飛び込んできた。

# # # # # # # #    

ニューヨークは朝というのに真っ暗です。

ここ、タイムズスクエアは

折からの朝の通勤時間で混雑していますが

皆、空を見上げて茫然としています。

現在のところ

何が起こったのかは分かりませんが

専門家によると、日食ではないようです。

なぜ、朝なのに

夜のようにとつぜん真っ暗になったのかは

現在のところは見当がつきません。

…………、

あっ、ただいま動きがあったようです。

新しいニュースが入って来ました。

アメリカ空軍のF16戦闘機が

オーティス空軍基地から

スクランブル発進した模様です。

どうも、

気象状況とは関係のないことのようです。

また新たな情報が入り次第お伝えします。

ニューヨークから天野がお伝えしました。

  # # # # # # # #

別のチャンネルに変えても

このニュースしか放送していなかった。

四人ともテレビのニュースに

くぎ付けになって、おはしを持ったまま

誰も食事を食べ始めなかった。

「へえー、

ニューヨークは大変なことになっているんだねえ」

父親がそう言うと

やっと我に返ったように

それぞれ食事に手を付け始めた。

「同時多発テロみたいなことが

起こっているの?」

翔太が父親にそう訊いた。

父親は近くの中学校の社会の先生だったので

そういうことには詳しいだろう

と、翔太は思ったのだが

まだ世界中の人たちも分からないことなので

さすがの父親も

「うーん」

と言ったきり答えに窮した。

ニュースに驚いて

普段のような活発な話にもならず

家族はご飯を食べ終えた。

「さあ、母さんは今日は早番だったから

食事の後片付けをしたら

早めにお休みするね」

母親はすぐそばの老人介護施設の

パートをしていたが時に早出の日がある。

そんな時は疲れ果てて

いつもみんなより先に休むのだった。

食器を片付けながら

「菜々美、明日はみんなで

伊豆急下田駅に買い物に行く日だよ。

入学祝いもその時に買おうね」

「うん、楽しみだなあ……」

菜々美はお皿を母親に渡しながら

嬉しそうに体を揺すった。

翌日は土曜日だった。

いつものようにリビングに集まり

朝食を食べ始めた。

ハムエッグとトーストとミルク。

いつもは活発に話が飛び交うのだが

今朝は何となく重苦しい雰囲気が漂っていた

「そういえば

あのニュース、どうなったんだろう」

そう言って

父親がテレビのリモコンをプチっとつけた。

# # # # # # # #    

ニューヨークの天野特派員に

訊いてみましょう。

声が聞こえたというのは

どういうことなんですか?

「はい。

まずお伝えしなければならないのは

先程もお伝えしたように

ニューヨークの空を埋め尽くすような

巨大なUFОが上空に浮かんでいるんですね

そして、しきりに

「私たちを助けてほしい」

と繰り返しているんです。

これは言葉として聞こえるのではなく

心に直接呼びかけているようなんです。

このため、先程ですね、

国連は緊急安保理事会を開催して

この件について検討を始めました。

以上、現在の時点で分かっていることを

ニューヨークから天野がお伝えしました」

「えー、NHCの特別番組では

様々な専門家にお集まりいただいて

この件についてご意見をお伺いしております

まずUFО研究にも長けている

東都大学の佐々木教授にご質問いたします。

結局、ニューヨーク上空に

巨大なUFОが浮かんでいる

ということですね」

「そうですね。

UFОについては今までにも

何回も地球に飛来した、

という記録が残っていますので

驚くには値しないのですが、

このように巨大なUFОがですよ、

しかもニューヨーク上空に

堂々と停泊しているというのは

前代未聞ですよねえ……」

「心理学がご専門の

早慶大学教授の園田先生にお伺いいたします

心に直接呼びかけているというのは

どういうことなんでしょうか?」

「まあ、一種のテレパシーでしょう。

これは我々人間においても

観察されることですので

べつに不思議ではないでしょう」

  # # # # # # # #

「宇宙人がきたのかなあ?」


と翔太が呟くと父親が答えた。

「そんな感じだね……」

「地球はどうなっちゃうんだろう」


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ここからは、パソコン向けです

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「ご飯よ」と母親が言うと、みんなリビングに集まってきた。

父親は仕事から帰ってきて、風呂から上がったばかり。

武田翔太は、新学期に提出する五年生最後の課題を終えたばかり。

昨日入学式が終わった菜々美はお人形を揃えたばかり。

この3LDKの二階家は、いつものように八時の夕食の時間になった。

「わぁ、今日は生姜焼きだぁ」

翔太が嬉しそうに叫んだ。

「テレビをつけて」と父親が疲れた声で呟いた。

母親がテレビをつけると、臨時ニュースが飛び込んできた。

# # # # # # # #    

ニューヨークは、朝というのに真っ暗です。

ここ、タイムズスクエアは折からの朝の通勤時間で混雑していますが、

皆、空を見上げて茫然としています。

現在のところ、何が起こったのかは分かりませんが、

専門家によると、日食ではないようです。

なぜ、朝なのに夜のようにとつぜん真っ暗になったのかは、

現在のところは見当がつきません。

……、あっ、ただいま動きがあったようです。

新しいニュースが入って来ました。

アメリカ空軍のF16戦闘機がオーティス空軍基地から

スクランブル発進した模様です。

どうも、気象状況とは関係のないことのようです。

また、新たな情報が入り次第、お伝えします

ニューヨークから天野がお伝えしました

       # # # # # # # #

別のチャンネルに変えても、このニュースしか放送していなかった。

四人ともテレビのニュースにくぎ付けになって、

おはしを持ったまま誰も食事を食べ始めなかった。

「へえー、ニューヨークは大変なことになっているんだねえ」

父親がそう言うと、やっと我に返ったように、

それぞれ食事に手を付け始めた。

「同時多発テロみたいなことが起こっているの?」

翔太が父親にそう訊いた。

父親は近くの中学校の社会の先生だったので、

そういうことには詳しいだろうと翔太は思ったのだが、

まだ世界中の人たちも分からないことなので、

さすがの父親も、「うーん」と言ったきり答えに窮した。

ニュースに驚いて普段のような活発な話にもならず家族はご飯を食べ終えた。

「さあ、母さんは今日、早番だったから、

食事の後片付けをしたら、早めにお休みするね」

母親は、すぐそばの老人介護施設のパートをしていたが、時に早出の日がある。

そんな時は、疲れ果てていつもみんなより先に休むのだった。

食器を片付けながら、

「菜々美、明日はみんなで伊豆急下田駅に買い物に行く日だよ。

入学祝いもその時に買おうね」

「うん、楽しみだなあ……」

菜々美はお皿を母親に渡しながら嬉しそうに体を揺すった。

翌日は土曜日だった。

いつものようにリビングに集まり朝食を食べ始めた。

ハムエッグとトーストとミルク。

いつもは活発に話が飛び交うのだが、今朝は何となく重苦しい雰囲気が漂っていた。

「そういえば、あのニュース、どうなったんだろう」

そう言って、父親がテレビのリモコンをプチっとつけた。

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ニューヨークの、天野特派員に訊いてみましょう。

声が聞こえたというのはどういうことなんですか?

「はい、まず、お伝えしなければいけないのは、

先程もお伝えしたように

ニューヨークの空を埋め尽くすような

巨大なUFОが上空に浮かんでいるんですね。

そして、しきりに「私たちを助けてほしい」

と繰り返しているんです。

これは、言葉として聞こえるのではなく

心に直接呼びかけているようなんです。

このため、先程、国連は緊急安保理事会を開催して

この件について検討を始めました。

以上、現在の時点で分かっていることを

ニューヨークから天野がお伝えしました」

「えー、NHCの特別番組では

様々な専門家にお集まりいただいて、

この件についてご意見をお伺いしております。

まずUFО研究にも長けている東都大学の佐々木教授に

ご質問いたします。

結局、ニューヨーク上空に巨大なUFОが浮かんでいる

ということですね」

「そうですね。UFОについては、今までにも何回も地球に飛来した、

という記録が残っていますので、驚くには値しないのですが、

このように巨大なUFОがですよ、しかもニューヨーク上空に堂々と

停泊しているというのは前代未聞ですよねえ…」

「心理学がご専門の早慶大学教授の園田先生にお伺いいたします。

心に直接呼びかけているというのは、どういうことなんでしょうか?」

「まあ、一種のテレパシーでしょう。

これは我々人間においても観察されることですので

べつに不思議ではないでしょう」

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「宇宙人がきたのかなあ?」と翔太が呟くと、父親が答えた。

「そんな感じだね……」

「地球はどうなっちゃうんだろう」


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