12. 罪

文字数 250文字

「生きる事は罪」
そう言ったのは誰だったか。
「なぜ」
と母に聞いた気がする。
母の答えは覚えていない。

今なら微かに分かる気がする。
他を喰らわねば生きられぬ。
他を犠牲にせねば今はない。
他がいなければ我がいない。

犠牲の上の私。
生き抜くために喰わねばならぬ。
それは罪か?
いいや。他のものもやっている。
では何が罪?
それは弱肉強食の為の死か?
自然から外れたそれは罪。
人の上に強者はいない。
人の下に弱者は滅す。
自然の理の輪から外れ尚生きる。
それ以外の生きる術を知らぬ。
それでも生きなければならぬ。

それ故に人は罪を負う。

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