第6話(序章)終生蓮弥

文字数 7,864文字


「ここを左に曲がればやっと、お目当ての終生さんに会える」



雅子叔母さんはそう言うと、左に曲がり部屋に入った。俺たちもその後に続く。

曲がった先でまず目にしたのは、大きく縦に長い机で、その長さに合わせて多くの椅子が机の横に並べられていた。



壁には銃が三つ掛けられており、通路とは違って広さを感じられるこの部屋は今までの中で、より一層涼しさを感じられる。

そんな部屋の一番奥、中央で手を組み待っている男がいた。

暗い部屋の中でより一層際立つ白衣や、綺麗に生えそろった白いひげがとてもよく似合っている。



一般的に、眠与者は眠受者と比べて寿命が三分の二ほどしかなく、短命だ。

彼の外見から察するに、彼の余生もそう長くは無いように感じた。



「そんなに遠巻きに見ていないでこちらにおいで」



口を開いて出た声は、重量感のある低い声だった。

しかし、その表情は優し気な雰囲気が漂っている。

彼の言う言葉に連れられ、全員で部屋の奥へと移動する。



「遅かったじゃないか」

「すみません、久々に会ったら思い出話に花が咲いてしまって」

「そうかそうか。甥っ子君に会ったんだ、しょうがない。君の甥っ子はそこの彼かな?」



俺と男の視線が交わった。

雅子叔母さんが俺の腕を掴み、自分のそれと組んだ。



「えぇ、よく分かりましたね。この子が甥の風雅です」

「君に良く似ているからね。いや、妹さんに似ていると言った方が良いのかもしれないが」



男がそう返した途端、俺の腕はかすかに強く絞められた。



「……それと、今日は前もって話していた桜百乃さんと、あともう一人杉政広が来てくれてます」



桜と政広がそれぞれ男に向かって頭を下げる。



「君が桜さんで、君は杉君? 君は今日なぜ来てくれたのかな?」

「何故、ですか? ……正直に言うと、二人がコソコソと俺に隠れて校外に出ようとしてたから気になって、無理を言ってここまで付いてきました」

「そうか……。桜さんは何だか首を振っているね。どうして?」



「杉君の言っていることは半分はあっていて、半分はあっていないと言うか。彼は無理を言って付いて来たと言いましたが、本当のところは、私が彼に付いてきて欲しかったんです。今日ここに来たのは私の最も大切な人である、曇百春の行方について聞くため。少しでも人が多い方がなんだか安心すると思ったから」



「なるほど。君にとって曇百春君はとても大事な人なんだね。君の願いはなるべく叶えてあげたい。だが杉君、一つだけ質問をいいかな?」



政広に向かい合って男は聞いた。



「えぇ、もちろんです」

「ありがとう。君は眠受者についてどう思っている?」

「眠受者について、ですか?」



男は何を聞きたいのだろうか。



「眠受者について……、思うところは特に無いです」

「……無いとは具体的に、どういうことかな?」



「……この世は、眠受者と眠与者、二種類の人間に分けたがる眠与者が多くいますが、僕はそれは変な話だと思っています。人間という生き物の中で、眠エネルギーに関していえば、それを持っている者、持たない者というのは確かにいますがそれはただの特性であってそれぞれの人間が持つ本質的なものは一切何も変わりがないと考えています。だから、今僕が言ったことは、眠受者に関して、特筆して言うことは無い。眠受者も眠与者も同じ人間であることに変わりは無いから、ということです」



唐突の質問だったにも関わらず、政広は言いよどむ事無く答えた。

俺は、今の政広の言葉を一言一言、自分の中で整理をすると、胸がじわりと言いようのない感情に支配されるのを感じた。

この感情はきっと、彼と会った時の初めて出会った時のものとよく似ている。

懐かしく、そして忘れてはいけない感情だということを再認識する。



「あの……、すみません。僕支離滅裂なことを言っているかもしれないんですけど、結局言いたい事っていうのは」



誰も何も言わない状況にしびれを切らし、政広は言葉をつづけた。



「あぁすまない。少し昔を思い出してしまったんだ。……私は君に、今日来てくれたことをとても感謝したい。少し長い話になるが聞いてくれるかな?」



質問をした当の本人は、しばらくぼーっとした顔をしていたが、続く政広の言葉でやっと意識が戻って来たようだ。

政広が男の言葉に頷くと、それを合図に俺たちそれぞれ席につくためにそれぞればらけた。



「まずは私の名前からだね。私の名前は終生蓮弥しゅうせい れんやといいます、よろしく。何から話せばいいものか……、そうだな今いるこの場所について説明をしようかな。ここは元々ある人が代々受け継いできた漬物屋だったんだ。けど有難いことにその人が、私のなそうとする事に共感を抱いてくれて今、こうやって少しだけ地下をいじって使用させてもらっているんだ。

そして、私のしようとしていることはと言うと……、簡潔に言おう。それは眠与者と眠受者の和睦をなしとげることだ」



「私は過去に山茶花のグループが所有する研究所で眠エネルギーの研究員をやっていた。しかし、そこで一人の研究員と出会った。それが桓武という男だ。彼は私を山茶花が持つ研究所以外で、眠エネルギーの研究を行おうと私を誘った。君なら気づいているかもしれないがこれは非合法だ」



終生はそこまで言うと、俺に目配せをした。

彼の言いたいことは分かる。山茶花家とは俺の生まれた家、椿家の分家にあたる家だ。この国において眠エネルギーの研究は山茶花の家が独占をしている。

その山茶花がもつ研究所以外で眠エネルギーの研究をすることは法律で許されていない。



「桓武という男は眠受者であるが、その優秀さを認められ眠エネルギーの存在を教えられた者の一人であった。最初は私と同じく山茶花の研究所で大人しくしていたが、次第に彼は秘密裏に仲間を集い始めた。目的を、今の私と同じく眠受者と眠与者の和睦として。彼は妙に人を集める性だったらしく、多くの人間が彼に付いて、山茶花家に隠れて眠エネルギーの研究を始めた。私も、そしてそこにいる椿雅子もその一人だ」



終生が指さした先にいた雅子叔母さんは、少し気まずそうな顔でそこにいた。

叔母さんは山茶花の研究所で何事もなく働いているのかと思っていたがそうではなかったらしい。

分家の山茶花を裏切る行為を裏で行っていた。



「桓武と私たちは、動物が持つ眠エネルギーをどうにか人間に適合させ、眠与者と眠受者の両者を眠エネルギーから解放させることはできないか、と研究を行っていたが、どうにも上手くいかなかった。そして、次第に募らせたものがあったのか、桓武は私と椿さんの二人を自分の研究所から追い出した。私たち二人は桓武の研究所の中で唯一の眠与者だったからね。眠受者の桓武にとっては分かり合えない部分があったのだろうか、追い出された理由はいまだに分からない」



「私は追い出された後、途方に暮れた。もちろん山茶花の研究所でそのまま研究を続けることもできた。しかし、私は自分にできるやり方で、かつて桓武が目指した眠与者と眠受者の和睦を目指そうと決めた」



「最初に誘ったのは、もちろん共に追い出された椿さんだった。そして予想通り快く付いて来てくれた。そして、斎藤さん、まだ会ったことはないだろうが蛍聖くん、多くの人が私に手を差し伸べてくれた。そしていつのまにか組織といえるほどの人数が集まった。

そんなときに椿さんが私に言ってくれた。私を中心としたこの集団に名前を付けるべきだ、と。私は大層迷った。私なんかが中心にいる組織にどんな名前を付ければいいのかと。そんな時、あまりに迷う私を見かねたのか、椿さんがこの名前を付けてくれた。【眠蓮団】という名前をね」



「眠蓮団という名前がついてから、多くの月日が流れた。多くの人間が成長した。多くの人間が誕生した。……そのためか、この地球上に”とある”人間が表れた。それは、【眠りを必要としない】人間だ」



「……眠りを必要としない人間?」



この場にいる全員、終生の話を黙って聞いていたが、ここで声が上がった。

桜からだった。その表情は驚き、恐怖、色んな感情が混ざっているように感じる。



「あぁ、そうだ。眠りを必要としない人間。これは眠エネルギーの存在を知ってしまった眠受者なら誰もが喉から手が欲しいものだった。

そもそもなぜ今この国の重要機関の上層部の多くが眠与者が占めているかというと、これは学校で習ったかもしれないが、人は眠らずには生命を維持できないからだ。

そんな生物が、眠エネルギーを持つものと持たない者とに分かれていたら、眠エネルギーを持たない者は、眠エネルギーを持つ者に服従せざるをえない。なぜなら、眠エネルギーがなければそれを持たない者は生きていけないから。これは不可抗力なんだ」



「ずっと続いて来た社会で、これは決して変わらない序列だった。しかし、眠りを必要としない人間が表れた今、眠与者が絶対的な存在として立っている社会のバランスが崩壊する。

眠与者の頂点に長い間立ってきた椿家を始めとした眠与者たちは、眠りを必要としない人間の生態を調べて、自分たちの地位を守るため、もう二度とそんな人間が生まれてこないようにしようとした

しかし、桓武たちの方が一歩早かった。彼らはすぐに眠りを必要としない人間を囲いこみ、解剖して、研究を進めた」



「待ってください。それってどこかで聞いたことのある話なような……」

政広が急に何かを思い出したように言うと、終生はある新聞記事を差し出した。

それは、ついこの間政広が見ていた新聞だった。



「君はきっとこの記事を読んだのだろう。この捕らえられた人物が他でもない、桓武だったんだ。彼は、おそらく眠与者のトップたちの命令により逮捕に至ったのだと考えている。

しかし、ここでも桓武は眠与者のトップたちより上手だった。あらかじめ桓武たちの研究所職員が全て捕らえられることを察して、職員だけを逃がし、彼らの手に収まったのは桓武ただ一人となった。

恐らく、桓武以外の職員がいまだ、眠りを必要としない人間の研究を進めていることだろう。

桓武には信頼を寄せる部下がいた。その名は平。彼もまた優秀な研究員だ。彼がいれば桓武がいなくとも研究は進められるだろう。

その証拠に、曇百春君が消えたのは今週の月曜日、桓武が捕らえられたのは先週の土曜日だ。きっと今もまだ」



「春幸は、百春は今も、苦しい思いをしているっていうんですか。その桓武って人の手下によって」



終生の言葉を突如遮って出てきた桜の声は、悲痛に満ちていた。

驚いて桜の方を見ると、その目は、今にでも涙がこぼれ落ちそうだった。

俺はその時初めて、曇百春の行方が分からなくなってからの五日間、桜がどんな思いで過ごしていたのかを、ようやく理解した。

いつも俺に対してだけ上辺を取り繕っているようで苦手に感じていた桜の意外な一面を、この数日で何度か感じさせられていた。

しかしそれは当たり前のことだった。

この世で最も大事な人間と会えなくなったら、今の様子が分からないのなら、自分を保てなくなるのは仕方がないこと。

そんな簡単なことを俺は上辺だけの理解、いやそれすらもしようとはしていなかった。



「私、百春を助けに行きます。場所を教えてください。終生さんなら知っているんでしょう?」



そういう桜の声には、意思の固さを感じた。

しかし、終生は桜の期待に応えず、首を振った。



「申し訳ないが、私にもそれは分からないんだ。今必死に眠蓮団の皆で、彼らを探している。

ただ、これだけは知っていてほしい。……今の君にこんなことを言うのは気休めにもならないかもしれないが、桓武は決して彼らを必要以上に痛めつけたり、ましてや殺したりなんてするような人間ではないということを。彼らを捕らえたのもきっと私は眠受者全員に適合するような、型を開発しているのだと思っている。眠受者が眠エネルギーを必要としなくなる、両者が平等になる世をつくるためにね。

そしてその型作りはきっと、曇君が痛みにのたうち回るようなものでは、決してないはず」





「……私のせいだ。私、百春が眠らなくてもいいこと、知ってたんです。いろんな人にその事を多分言ってしまってると思います。私が喋らなければ今頃百春は……」



桜はぽつりと、それだけ言うとうなだれて顔を覆った。

すると、隣で政広が席を立ち、向かい側の桜の席の元へ近づく。

そして、その肩を揺さった。



「百乃が曇百春をさらったのか? 君が彼の意志を無視して、その体を好きなようにしているのか?」

「……違う」

「だったら君が悪いはずがないんだ。悪いのは平たちだけで君が自分を責めるのは僕は違うと思うけど」

「でも百春は……」

「君が悪いなんて彼が一番思っていないと思うよ」



顔を上げた桜と、政広はしばらく見つめ合った。

そしてしばらくして、また顔を覆った桜の肩を今度は優しく政広は擦った。



「終生さん、俺たちにできることって何かないんですか? 今の曇の状況を聞いて何もしない僕たちじゃありません」



沈黙を破ったのは、政広の力強い声だった。



「この話をすれば、きっと君たちならそう言ってくれるだろうと思っていたよ。けど、辛いだろうがこの件は、私たちに任せてほしい。

今日君たちをここに呼んだのは、斎藤さんの意志だ。

椿君と桜さんの話を聞いたら何か思うことがあったのだろうね。私に、彼女ら二人に今何が起こっているかを教えてあげてほしいと連絡をしてきた。

これは予想でしかないが、君たちが曇君を探そうと行動を起こして、もしそれが誰かの目に留まり、今度は二人まで危険な目に遭うかもしれないからそれを避けようと、今日君たちをここに寄こしたのだと思っている」



ここまで言い切った終生の目は、分かってくれと俺たちに訴えている。



「でも、それでも何か俺たちに……」

なおも粘る政広を、桜は手で制した。

「いいの、政広」

「……君が言うなら」

「今日はもう帰ります。ありがとうございました」

桜は終生に向かって礼を言った。

「……ありがとう。また曇君に関して、何か分かればすぐに君に連絡をすると誓うよ」



桜がそう言ってしまえば、俺もごねることも出来なかったため、素直に終生さんに別れを告げた。



再び長い通路を辿って、地上に戻って来た。

有馬さんと有奈さんはまだすることが残っているそうで、二人は地下に残り雅子叔母さん一人、俺たちを店の入り口まで見送ってくれた。



「じゃあな。また何か進展があれば絶対に連絡するから。手紙、読まずに捨てたりしないでちゃんと受け取りなよ」

「今までだって手紙捨てたことねぇよ」

「どうだか」



そう言うと、雅子叔母さんは桜に向き合った。



「百乃ちゃん、曇君のこと心配だよな。あんなだけど終生さんが今日言ってたことは間違っていない。私も桓武さんのそばに少しだけいたからわかるけど、決して曇君が苦しむようなことはしていないはず。……ごめんね、曇君のことは諦めろって言っているんじゃない、君に安心してもらいたいだけなんだ」



雅子叔母さんは桜を抱きしめた。

桜はその腕の中で少しうごめくと、小さい声で言った。



「はい……、皆さんが言っていることちゃんと理解しています。だから、些細なことでいいので、もし何か百春のことで何か分かったら連絡ください。お願いします」

「うん、約束」





俺たちが元来た角を曲がるまで、雅子叔母さんが手を振り続けてくれた。



大通りはもう六時だというのにいまだに人で溢れている。

居酒屋が開く時間になったからか、昼間の太陽とはまた違う明るさが店の前にぶら下がった提灯によってもたらされている。



隣にいる桜の様子を窺うと、周りの騒がしさにはちっとも関心を抱いていないようだった。

ただ、前を見つめひたすらに歩き続ける。

心なしか行きよりも足を踏み出す速さが速い。

恐らく桜の頭の中は、先ほど聞いた曇の現状でいっぱいなのだろう。



正直言って、桜があの場面で大人しく引くとは思ってもいなかった。

普段とは違う様子を見せてしまうほど、曇が攫われたことは桜にとって大きい出来事だったはず。

終生のあの説得で桜の中でけりが付いているのだろうか、もしそうなら俺が桜をこれから起こす行動に伴わせてはいけない。



きっかけは生半可な気持ちだったものの、今の曇を含む眠りを必要としなくなった人々の現状はどう考えても見過ごせない。

大人に任せろと言ったって他でもない俺たちの同い年の生徒も巻き込まれている。このままジッとしていればまた被害者が増えるかもしれない。



とはいえ、平たちを追っているのは眠蓮団だけではないだろう。

恐らく俺の父、椿英雅も追っているはず。あいつの権力を持ってしてでも見つけられていないということは平たちも相当上手い事逃げ回っていると考えていい。

そんなやつらの居場所を突き止めるなんて俺に出来るのか? 



いや、桜はもちろんのこと政広だってこれ以上巻き込みたくはない。

だから一人でやるしかない。

しかし、今政広と離れてしまったら、この前のようなことが起きないという保証はどこにもない。

どれが最善か……



「で、どれからやろうか」



急な政広のその言葉に俺はぐるぐると巡っていた思考が止められた。



「平の居場所を突き止めるのが一番なんだろうけど、それが出来たら苦労しないか」



政広は腕を頭の後ろで組み、遠くに視線をやっている。



「二人はどう思う?」



何ということもないように言う政広に、俺は戸惑う。



「二人って、俺はいいけど桜はさっきああ言ってたんだから巻き込むのは……」



そう言って桜の方を見ると、俯いて表情は分からないが、肩がかすかに揺れているのが分かる。

泣いていると察し、政広に目配せをすると政広は呆れた顔をして、視線で”桜を見ろ”と俺に訴えかけた。

そのため、俺は桜の方を再び見ると、丁度、桜は伏せていた顔を上げた。

しかし、上げられた顔に浮かんでいた表情は、俺の予想とは百八十度異なっていた。



「あー、可笑しい。椿君ってやっぱり嘘を見抜けないタイプじゃない?」



笑い交じりの桜のその声は、悲観さは感じられない。



「……嘘? いつ嘘をついたって言うんだよ」



「もちろん、百春の捜索を大人に任せるっていう話よ。私がそんなに物分かりのいい人間に見えた?」



これにはとても驚いた。

てっきり桜は眠蓮団からの連絡を待つことが自分に出来ることだと納得した、と俺の目には映っていたからだ。



「雅子叔母さんの連絡を待つんじゃなかったのかよ」

「もちろん雅子さんの連絡は待つわ……けど私思うの、きっと私たちだから出来ることがあるんじゃないかってね。それに、ただ待ってるだけじゃ百春はいつまでたっても私の元に戻ってこないわ」



「だと思った。それなのに風雅、君ってやつは全然百乃のことを分かってないな」

「分かってないってそんなの見抜けないだろ。第一俺だけじゃなくあの場にいた人間はほとんど騙されてたに違いない」

「そうかな? 決意が固まったこの百乃の瞳を見れば分かりそうなもんだけど」



なぁ? と政広は桜の顔を首を傾けてのぞき込んだ。



「そんなに見なくていいから。とりあえず、二人とも私に手を貸してくれるってことでいいのよね?」



桜は政広の顔を片手で押しのけた。そして俺たちの顔を交互に見る。



「もちろん。というか君の友達は僕も大切にしたい、手を貸すっていうのは水臭いな。僕的にはもう曇は友達も同然。だよな?」



俺に向かって政広は笑いかけた。



「……だな。俺たちは目的が一緒の盟友ってところか」

「……こんなに力強いことはないわね。よろしく頼むわ」



三人で拳を突き合わせる。

この三人ならきっと乗り越えられる。そんな予感がする

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