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文字数 850文字

 1つ言わせてもらいたい!
私が以前、パチンコ屋でバイトをしていた時。大量に玉を出して、勝った男の背格好を聞かれたのだ。
全員が(7、8人)見ていたにもかかわらず。
答えは、
「黒いジャンパー」「いや紺だ」「えっ?白じゃなかった?」「いやいや銀色じゃ、光ってたから」
とバラバラ。皆が悩んでいると、その男が戻ってきて。別の台を打ち出した。
その格好は、深緑のジャンパー。
それどころか、明るいベージュのスラックス。
しかも名前まで知っている、近くに住む常連だった。皆で大笑いするしか無かった。

 つまり!何が言いたいかというと。
人の記憶はいい加減という事だ。
脳は色ではなく、明るいか暗いかで判断する。
色を付けるのは別の脳だ。記憶とは関係無い。
 更には常連だからと、記憶しないのだ。
つまり、そこにいる人が背景化されるのだ。
そんな目撃情報あてになるものか。

 何でそんなにも詳しいかって?
調べました!脳科学!
これだけ職質受けりゃ、誰だってそうなるわな。と話を戻して。
 茶色い包みの中身は覚醒剤だったみたいだ。
これなら俺は直ぐに容疑者から弾かれるなと、思って見ていると。
年嵩のお巡りさんが、名前は斎藤さんが、

「知ってるか?いたか?お前か?あははは」

と笑った。
 だが俺が引っ掛かったのは、そのコンビニだった。俺が(もう俺で良いや)、そこは2番目に良く行くコンビニだったのだ。
ここには俺の好きなパンがある。だからどうしても2件常連のコンビニが出来てしまうのだ。歩いても2、3分位しか違わない。
 俺は思わず、

「良く行くコンビニです」

と言うと。交番の空気が一瞬でざわめいた。
 いやいや、犯人じゃないから!
俺がその雰囲気に飲まれず、添付してあった、茶色い包みの写真を見ていると。
何かあるのか?と斎藤さんが聞いた。俺は、

「確か、あのコンビニの店長が、タバコの棚の下に、これと同じ物を入れてたような?」

「何だって?」

「いや、見たような。あはは、気のせいかな、気のせいですよ、気のせい」

と俺が否定すると。
 斎藤さんは訝しげに、資料を見続けた。
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