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文字数 754文字

 俺は何となく馬鹿げてきたので、思いっ切り吹っ掛けてやった。

「焼肉が良いなぁ〜」

と言うと。斎藤さんカッと怒って。

「お前!警察をなめてるのか?公務員をなめるな!ファミレスだファミレス!」

と腕を引っ張られ、連れて行かれた。
そして、近くのファミレスまで歩いて行った。
 交番の二軒隣だった。俺はそれでも、人の情報でボーナス貰ったならと。
「この店で、1番高いもの」
と言いたかったが。どれも大差は無かったので。ステーキセットを頼んだ。
 斎藤さんはニヤニヤ笑っていた。そして、

「何ならビールも飲め。俺は仕事中だから飲まないがな」

と言った。それならばと、ビールをジョッキで頼んだ。やっぱ焼肉が良かった。チクショー、と何の会話もなく。料理よりも先に来たビールで喉を潤すと。
斎藤さんは、ドリンクバーからコーヒーを持ってきていた。
 警察官は良く、コーヒーや紅茶を飲む。
しかも甘くして。

 料理が運ばれてきて。ほろ酔い気分でステーキに満足していると。斎藤さんも同じ物を食べながら、

「ところでだ。最近、何か情報はないか?」

と言ってきた。
 プッ!と吹き出しそうになった。
俺は情報屋か?しかも、来年定年退職のお巡りさんが、聞いてどうするの?
刑事さんなら話も分かるけど。

「無いです」

俺は、はっきりと否定した。
 すると斎藤さんはニヤニヤ笑って。

「ところで、仕事は見付かったか?
交番をウロウロしているところをみると。
どうやら、まだの様だがな」

と、まるで人が聞いたら犯罪者を、更生させようとしている刑事さんみたいな事を言った。
俺は回りを見回して。

「変な事を言わないで下さいよ。俺は堅気の、新卒者なんだから」

と言った。
 う~ん、何か隠語みたいで、犯罪者感を加速させた様な。
隣りのテーブルの人が、衝立越しに興味津々、聞き耳を立てている様な気がしてきた。
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