木漏れ日の頃7

文字数 677文字

   【 小言 】


 愚かで我侭な行為。
 自分勝手で幼稚な行動。
 それが、他人の目。


 週が開けた日。
 何事もなかった様に……とは、いかなかった。
 会社に行くと、無断欠勤の話。
「ずっと駅に居たの?
 今度から電車に間に合わなかったら、誰か迎えに行くから遅れても来なさい」
 所長さんはそれだけ言うと、仕事を始める。

 指導者さんは車の中で小言を言った。
「学生じゃないんだから、ちゃんと連絡ぐらい入れなさい。心配するでしょ。携帯はどうしたの?」
「電源が切れて……」
「ずっと駅に居て、何してたの?」
「……何も」
 苦笑いで答える。
 ――言える訳がない。
「何も? ただ、駅にいただけ?」
「……」
 無言で頷いた。
 指導者さんは溜息をつく。
「今度からはちゃんと連絡入れてね」

 帰りは従姉妹ちゃんと一緒だった。
 車の中での話はやっぱり無断欠勤。
「指導者さん心配してたんだよ。駅とか見にいったりしてたし」
「そう」
 私はとりあえず、頷いてみる。
「駅で何してたの?」
「何も」
 この質問、何度聞かれただろう? 
「携帯の電源が切れたっての嘘でしょ」
 チラリと私を見ながら従姉妹ちゃんは言う。
「だって、面倒だったんだもん」
 笑って私は言った。
「……やっぱり」
「切れかけてたってのは本当だもん。電源着けてても、きっと切れていたよ」
 言い訳っぽい私の言葉に従姉妹ちゃんは何も言わなかった。
 そして、最後に言った言葉は……
「子供じゃないんだしさ。無断欠勤は止めようよ」
 呆れ返った言葉だった。


 ――誰も、判るわけないよ。
 私がここでどんなに叫んでいるか。

 声なき声が、誰かに伝わる事はありえない。
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