第25話:令二さんを富子さんの仲を取り持つ

文字数 1,680文字

 それを聞いて、井方が,その通り、株は難しい。やらないで済むならやらない方が賢明かも知れないと笑いながら言った。そんな話をしていると18時を過ぎて、料理が出て来て、ビール解禁となった。すると、衣川富子が、井方の横に来て、さすが数学の天才、すごいわねと言った。でも井方君、なぜ、もっと上をめざさなかったのと聞いた。どういうことと聞くと、あなたなら立川高校に入って、東大理工学部か東京工業大学に入れるはずだったので、八王子の高専に入ったとと言う意味だった。

 確かにライバルの秀島重幸と石島章雄がそれぞれ、東大理工学部と東工大に入ったじゃない、あなたの方がその上を行ってたのよと言うと、井方が、俺は、八王子の山々も見て育ち、ここが好きだったし、高専でも十分勉強したから悔いはないときっぱりと言った。欲のない人なのねと、衣川富子が笑った。それより、君は、亭主が亡くなってから、再婚する気はなかったのと聞くと、亭主が死んだときには40歳を過ぎて、もらいては、いないし、また、男で苦労するのは、こりごりだったと思ったと話した。

 そして、私は、強い男よりも、頼りないかも知れないが、気持ちをわかってくれる優しい男の方が好きなのよと笑いながら言った。もし、そんな男に,プロポーズされたらどうすると聞くと、どうせ、もう長くない人生だから、一緒に過ごしても良いわと言うと、酔っ払った男達が、俺はどうと言うと、冗談じゃない、タイプじゃない,おととい来やがれと息巻いた。その話が、マジなら、俺が、良い人を紹介してやるよと、言うと、そんな男いるはずないわと、寂しそうに笑った。

 実は、その男というのは、俺の伯父にあたる人で3歳年上なんだというと、それ真面目な話と聞き返すので、俺が、不真面目な話すると思っているのかと、言い返すした、・それがほんとなら、一度,会ってみたいと言ったので、電話するよと言い、衣川富子の電話番号を聞いた。期待して良いのねと、言い、他のテーブルに移っていった。その後22時になり、同窓会もお開きとなって、それぞれ、帰って行った。
  
 そして、翌日、その話を、令二さんに電話すると、そんな、女いるはずないと、言ったが,興味あるので、だめもとで、一度会ってみないかと、善継が令二さんに言うと、それなら、手はず取ってくれよと言った。その晩、18時頃に衣川富子に、善継が電話すると、今週の日曜日3月16日、11時に橋本のKLと言う喫茶店で、どうかと聞くと、その時間ならいけると言った。

 そこで、待っていると、善継が、答えると、もし、私が,その人を気に入らなかったら、それで終わりよと言うので、OKと答えた。そして、3月16日・日曜、10時半過ぎに、善継が令二さんに精一杯のオシャレをさせて連れて、待っていると、11時前に衣川富子が喫茶店に現れた。

 そして、善継がこっちと合図すると、4人掛けの席の反対側に、座った。そして、善継が、令二に、こちらが衣川富子さんですと言い、中学時代の旧友ですと紹介した。そして、令二を,この人が,私の伯父にあたる、井方令二と言いますと紹介した。令二が、ちょっと、もじもじ,しながら、私、女性の扱いに慣れてないので、失礼なことを言うかも知れませんが、その時は,言って下さいと,優しく言った。すると、智子さんが、謙虚な方ねと言った。

 そして令二が、緊張していて、あまり話ができないので、善継が、富子さんは中学時代同級生で、文学少女で,よく本を読んで、賢く、八王子高校を卒業後、中央大学文学部を卒業した才媛だと紹介した。すると、それは、ほめすぎよと笑った。いいえね、善継さんの方が、数学の天才で、クラストップで、きっと東大理工学部か東工大に入るだろうなと、思っていたが、なんと、中学卒業して,地元八王子の高専に入ってしまい、驚いたと話した。

 彼は、学年でもトップの切れ者で、数学の証明なんかをやると先生よりよっぽど、説明が上手で、女の子にもてたのと言った。それを聞いて、令二さんが、僕と彼は、その謙虚さという所だけが唯一の共通点なんですと言った。
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