3$ Look forward to the "Afterlife"(1)

文字数 2,005文字

 気だるい。喉が渇いた。
 満足感は、いつも以上だった。
「おい、しょっと」
 絶頂して、一瞬だけ飛んでいた意識。西さんはまだ飛んだまま。
 こすり合わせていた股を引きはがす。互いの出した汁が糸になって繋がっている。ちょっともう1回したくなった。
 でもさすがに体力切れ。
 暖房もついていない室内は肌寒い。汗やらお互いの唾液やらで濡れてるから余計だ。
 ベッドから降りると、いつの間にか床に落ちていた布団を拾ってすやすや眠っている西さんにかけて、ベッドサイドの小さい冷蔵庫から水のペットボトルを出して飲んだ。
 男とするのも嫌いじゃない。楽にイけるし、そもそも生物学的にはそれが正常な快楽だから。
 でも女とするのも好き。正直快楽の度合いは男とするよりも少ない。どちらかというと、快楽に溺れる相手を見て悦に浸るのが楽しい。バカな自分にバカみたいにぐちゅぐちゅにされてる女の子を見ると、バカだなぁって思えて、愉しい。
 自分から服を脱ぐことはなかったし、相手がイッてその後おもちゃで自分の昂ぶりを収めるのが通常だった。
「オンナノコの方がかわうぃーしねー」
 さっきまで快楽に喘いで豚のようになっていた可愛い寝顔。胸が締め付けられるような愛おしさがこみあげて来る。
 今日は自分から脱いで、相手と快楽を共有していた。初めて同性とヤっている最中にイった。それも何度も。
 自分が女相手にこれほど濡れて乱れるとは、思ってもいなかった。
 喉の渇きが癒えると、今度は寒さに震えて来る。シャワーを浴びたい気持ちもあるが、今体に着いているの西さんの唾液と愛液と汗だって考えると、不思議と不快感がない。
「さっきまであんなブッ細工だったのに、かわいーの」
 ベッドにもぐりこみ、細い彼女の体を抱きしめる。
「ん……? ぁ……」
「ありゃりゃ? 起こしちゃった? ごめんね」
「いい……」
 気だるそうなのは西さんも同じ。
 無性に彼女の唇が恋しくて、軽く触れ合う。じんわりと胸が熱くなる。
 すぐに離れて、まだ眠たそうな彼女が少しだけ微笑んだ。
「おほ。かわい」
 思わずもう一度口付けする。かすかなえぐみを感じて、そういえばさっきまでこの口に自分の陰部を擦りつけていたんだよなぁとか考えてしまうが、それより彼女の唇が欲しい。
 深くお互いを感じて、少しムラムラして来たくらいでやめておく。さすがにもう無理だ。
「ね、アイってやつなのかな? これ?」
「なに? どういうこと?」
 何となく口をついて出てきた言葉に、我ながら首をかしげてしましそう。
「あたし、西さんの事、ただのセフレだと思ってたし、ぶっちゃけコイントスで裏なら本気で人体売買のバイヤーに売りつけて生きたままバラ売りするつもりだったんだけど」
「聞かなきゃよかったセリフのオンパレードだけど?」
「でね。でも、今は好きで好きで仕方ないんだ。ずっと抱きしめてたいし、ずっと一緒にいたい」
 言っていてバカっぽいし、こっぱずかしいけど。でも思った事はすぐに言わないと、人間は意外とあっさり死んで、二度と伝えられなくなる。
 だから、あたしは思った事をすぐ言うようにしている。
「話が噛み合ってないけど、まあ、そう……」
 腕の中の西さんは少しだけ口をほころばせた。
 それが本当に可愛い。もう全部可愛い。
「やっぱ、だめだ。もっかい……」
 音を立てて口を吸うと、少し弱々しく彼女が肩を押してきた。
「バカ。お風呂入って出る。もうムリ」
「えー。やだー」
 西さんは気だるそうな体を引きずって浴室に向かったので、ちょっと大きなおしりを眺めながらその後に続く。
 彼女は元々手足が長くてスタイルがいい。というか結構細い。おっぱいも目立たない。無理やりダイエットで痩せた感じ。でも年頃の女の子らしく、下半身にはしっかりお肉がついていて、ぷりぷりしている。それがとてもいい。
「じゃ、じゃ! 一緒に入ろうよ。ね!」
「はいはい。わかったわかった」
 しょうもないと、自分でも思う。でも少しでも一緒に居たいのだ。
 西さんは真面目だから、お風呂にお湯をはったり、暖房を付けたり色々やってくれる。
「ね、ね! ここ! ここすわって!」
 あたしはいいものを見つけたから、すぐに西さんに勧める。
「ば、バカじゃないの!?」
 顔を真っ赤にさせた西さん、かわいい。
 あたしが見せたのは、いわゆる”スケベ椅子”というやつ。
「あれれー? 西さん、知らないの? この椅子はね、座ってる人のオマタを綺麗に洗うための、介護用医療用具なんだぜ? なに、考えてたのかなぁ?」
 本当はこれの用途は、寝たきりとか体が不自由な人の股間を洗う為の椅子なのだ。
 それをこの変態だらけの国は、エロい道具にしてしまった。
「な、なに、バカ!?」
 耳まで赤くさせてぷりぷり怒っている。めちゃくちゃかわいい。
 そんな彼女をなだめて椅子に座らせて、シャワーからお湯を出す。
「おわびに、きれいきれいしたげる」
「ん」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み