吸血鬼の世界
文字数 295文字
欧州の僻地には、吸血鬼が治める吸血鬼の領地が点在している。
領地は近代化の波に流されることなく、しかして適度に文明を取り入れつつ、中世と現代を織り混ぜた独自の生活様式を保っている。
吸血鬼といっても、実際には世に言われるような恐ろしいものではなく。
人の血を求めて村々を襲うこともなく、不老不死の存在でもない。
太陽に当たって灰になったり流れる水を渡れなかったりもしない。
ただ、ほんの少し死ににくかったり魔術を使えたり、魔物を従えたり人を吸血鬼に変えたりできるだけ。
しかして隣国の吸血鬼同士の小競り合いはたまにある。
これは、そんな領地のひとつの物語。