第8話・干しっぱなしのせんたくもの
文字数 685文字
しまった。洗濯物を、外に出したままだった。
そう気が付くも時すでに遅し、時計の針は深夜0時。
恐る恐る、部屋のカーテンをめくってベランダに干しっぱなしの我がシャツ達を見やる。
……あぁ。群がられている。
コンビニのメロンパン程度の大きさの黒い何かに、群がられている。
柔らかい毛を夜風になびかせながら、その黒いのは俺のシャツに張り付いてニタニタしていた。
毛だらけの丸い形に、くりんとした眼球が2つ。そのすぐ下に、厚ぼったくて無駄に妖艶な唇1つ。
カサカサ動きながらニタニタしている。たまに、俺の洗濯物を分厚い唇で吸う。
「夜になったら、洗濯物は家にいれなきゃ駄目よ。おばけがついちゃうからね」
そんな母親の言葉を思い出しては、ため息をつく。
お母さんごめんなさい。今、俺はおばけにめちゃめちゃ群がられています。
黒いのと窓越しに目が合う。相手はニィ、と笑ってまたシャツ周りを徘徊した。
俺は諦めて、カーテンを閉めた。
翌日。
ベランダに出て洗濯物を見てみると、案の定、黒い髪の毛のようなものがシャツにまとわりついていた。
吸われてもいたせいか、部分的に湿ってもいた。
気持ち悪かったので最初は捨てようと思った。
が、しかし。お気に入りのシャツだったので捨てるのはどうも惜しく、俺は毛を取って除菌スプレーをかけて、何食わぬ顔でそれを着た。
シャツを着たままバイトに行ったが、特に不幸は起こらず。
むしろ信号ノンストップでバイト先に行けたし、スクラッチで5万当たるわ寄ったコンビニのレジの子が可愛いわで良い事づくめでした。
最後に、帰宅途中にバイクにはねられて死んだけど。
そう気が付くも時すでに遅し、時計の針は深夜0時。
恐る恐る、部屋のカーテンをめくってベランダに干しっぱなしの我がシャツ達を見やる。
……あぁ。群がられている。
コンビニのメロンパン程度の大きさの黒い何かに、群がられている。
柔らかい毛を夜風になびかせながら、その黒いのは俺のシャツに張り付いてニタニタしていた。
毛だらけの丸い形に、くりんとした眼球が2つ。そのすぐ下に、厚ぼったくて無駄に妖艶な唇1つ。
カサカサ動きながらニタニタしている。たまに、俺の洗濯物を分厚い唇で吸う。
「夜になったら、洗濯物は家にいれなきゃ駄目よ。おばけがついちゃうからね」
そんな母親の言葉を思い出しては、ため息をつく。
お母さんごめんなさい。今、俺はおばけにめちゃめちゃ群がられています。
黒いのと窓越しに目が合う。相手はニィ、と笑ってまたシャツ周りを徘徊した。
俺は諦めて、カーテンを閉めた。
翌日。
ベランダに出て洗濯物を見てみると、案の定、黒い髪の毛のようなものがシャツにまとわりついていた。
吸われてもいたせいか、部分的に湿ってもいた。
気持ち悪かったので最初は捨てようと思った。
が、しかし。お気に入りのシャツだったので捨てるのはどうも惜しく、俺は毛を取って除菌スプレーをかけて、何食わぬ顔でそれを着た。
シャツを着たままバイトに行ったが、特に不幸は起こらず。
むしろ信号ノンストップでバイト先に行けたし、スクラッチで5万当たるわ寄ったコンビニのレジの子が可愛いわで良い事づくめでした。
最後に、帰宅途中にバイクにはねられて死んだけど。