第6話・季節外れの線香花火
文字数 229文字
「?」
深夜、空中に大きな線香花火が浮かんでいた。辺りには焦げ臭い匂いが立ちこめている。
近づいてよくよく見てみると、高い木に両足をくくりつけられて、逆さに吊るされた青年の頭が燃えていた。
なるほど。だから、遠目で見て「線香花火」と思ったのか。
「花火だったら、誰か後片付けしろよ」と、私は首吊り死体の燃える頭を蹴り飛ばした。
頭は軽々ともげ、森の向こうに転がっていった。
……転がった先でチラチラと赤いものが発生していたが、私は何食わぬ顔でこの場から去った。
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