フェルマータ:???
文字数 709文字
「さて、ここまではアルバム『クロスドツインズ』から、チャーリー・セイラー、コルダ・グローリア、ウィリアム・セイラー、アルコ・グローリアによる曲をそれぞれお聴き頂きました……なんてね! どう、何か気に入った曲はあった?」
ジャズオーケストラの進行役気取りだろうか、妙に似ている物真似を挟みつつ。カーテンを開けた店主は、おや、と瞳に半月を映す。
「もうこんな時間か。遅くまで付き合わせてしまったね。続きはまた今度、君の好きなタイミングで聴きにおいで……伝票はどこへやったかな。え〜〜……っと……ああ、あったあった」
黒エプロンのポケットから折り目のついた紙を取り出し。階段をゆっくりと降りながら、店主は続ける。
「かなり長いアルバムなんだ。彼らの人生全てが詰まってると言ってもいい。何せこのアルバムが完成するまで、相当の年月がかかったからね。バンドの結成自体、つい最近の話さ。二組の双子が出会うまで……そしてそのあとも。本当に、色々あったんだ」
年季の入った棚付きのレジスターに指を走らせ。人工的な金属音を響かせたのが合図だと言わんばかりに、店主は再び進行役と化す。
「ふふ、気になるでしょう! 貴方様はそう言ってくださるだろうと思いました。では、ゆっくりお聴かせ致しましょう。少年たちがどんな日々を過ごし、双子たちが邂逅するまで……実は何度も出会しそうにはなってたんだけどね……オホン! あーそれからそれから。風変わりなギャングの陰謀や、双子たちの出生にまつわる秘密まで! 余すところなくお目に入れましょうとも!」
鈴の音と共に夜風が緞帳を下ろす。役者は恭しく手を胸にあて、深々と頭をさげた。
「ご来場、ありがとうございました」
ジャズオーケストラの進行役気取りだろうか、妙に似ている物真似を挟みつつ。カーテンを開けた店主は、おや、と瞳に半月を映す。
「もうこんな時間か。遅くまで付き合わせてしまったね。続きはまた今度、君の好きなタイミングで聴きにおいで……伝票はどこへやったかな。え〜〜……っと……ああ、あったあった」
黒エプロンのポケットから折り目のついた紙を取り出し。階段をゆっくりと降りながら、店主は続ける。
「かなり長いアルバムなんだ。彼らの人生全てが詰まってると言ってもいい。何せこのアルバムが完成するまで、相当の年月がかかったからね。バンドの結成自体、つい最近の話さ。二組の双子が出会うまで……そしてそのあとも。本当に、色々あったんだ」
年季の入った棚付きのレジスターに指を走らせ。人工的な金属音を響かせたのが合図だと言わんばかりに、店主は再び進行役と化す。
「ふふ、気になるでしょう! 貴方様はそう言ってくださるだろうと思いました。では、ゆっくりお聴かせ致しましょう。少年たちがどんな日々を過ごし、双子たちが邂逅するまで……実は何度も出会しそうにはなってたんだけどね……オホン! あーそれからそれから。風変わりなギャングの陰謀や、双子たちの出生にまつわる秘密まで! 余すところなくお目に入れましょうとも!」
鈴の音と共に夜風が緞帳を下ろす。役者は恭しく手を胸にあて、深々と頭をさげた。
「ご来場、ありがとうございました」