零曲目:???
文字数 600文字
「あっっつ!! ……あ、いらっしゃ……うわっ! はは、ごめんよ。油が跳ねてね……」
扉を開ければ、カウンターの向こうで店主が何かと格闘していた。彼の言葉どおり、パチパチ、じゅわじゅわと何かの弾ける音。
「でもちょうどよかった。ヨウティヤオが揚がったんだ。……聞いたことない? んー、そうだな。ドーナツともチュロスとも違う……揚げたパン? いや、パンではないって言われたんだっけ……まあとにかく、中国では朝ごはんのときお粥と一緒に食べたりするんだって」
せっかくだから試食してってよ。烏龍茶がいい? それともジャスミンティーかな? 店主はフライパンから(悪戦苦闘しつつ)きつね色の細長い何かを出して立て置くと、戸棚に二十ほど置かれたティーキャディボックスを見比べる。
「コーヒーメインの店ではあるんだけどね、気付いたら増えちゃって。ダージリン、アールグレイ、ウバにキャンディ、アッサム……あとグリーンティーとか。ひととおり揃ってるよ。……さて、もう食べられる熱さになったかな」
サク、と音を立てひとくち齧ったは良いものの、あふっ!? と店主は困り顔で目を細める。
「うーん、まだみたいだね。それじゃあ、先に曲を流しちゃおうか。今回は十月初旬収録、ヨウティヤオも中国茶も合うこの曲」
既にセットされていたレコードにピンがおちる。湯を沸かしヨウティヤオを冷ます合間のBGMとして、ターンテーブルはまわりはじめた。
扉を開ければ、カウンターの向こうで店主が何かと格闘していた。彼の言葉どおり、パチパチ、じゅわじゅわと何かの弾ける音。
「でもちょうどよかった。ヨウティヤオが揚がったんだ。……聞いたことない? んー、そうだな。ドーナツともチュロスとも違う……揚げたパン? いや、パンではないって言われたんだっけ……まあとにかく、中国では朝ごはんのときお粥と一緒に食べたりするんだって」
せっかくだから試食してってよ。烏龍茶がいい? それともジャスミンティーかな? 店主はフライパンから(悪戦苦闘しつつ)きつね色の細長い何かを出して立て置くと、戸棚に二十ほど置かれたティーキャディボックスを見比べる。
「コーヒーメインの店ではあるんだけどね、気付いたら増えちゃって。ダージリン、アールグレイ、ウバにキャンディ、アッサム……あとグリーンティーとか。ひととおり揃ってるよ。……さて、もう食べられる熱さになったかな」
サク、と音を立てひとくち齧ったは良いものの、あふっ!? と店主は困り顔で目を細める。
「うーん、まだみたいだね。それじゃあ、先に曲を流しちゃおうか。今回は十月初旬収録、ヨウティヤオも中国茶も合うこの曲」
既にセットされていたレコードにピンがおちる。湯を沸かしヨウティヤオを冷ます合間のBGMとして、ターンテーブルはまわりはじめた。