第3話

文字数 502文字

それからしばらくの日数をかけて、
ついに湖竜がいるという湖に辿り着いた。

木々が鬱蒼と生い茂る森を抜けると、
まばゆい光が目を覆った。

キラキラと太陽の光が湖を反射していた。
そよ風とともに揺れる水面は穏やかで、自然の風も心地よかった。

湖は大変広く、視線の半分以上は湖だけで使われた。

奥には森が再び続いており、森の真ん中に雄大に広がる湖は堂々たるものだった。


「ここが、あの湖か」

王様からもらった地図で見比べると、ここが例の湖であることは間違いなかった。


そよそよと頬に触れる髪が少し鬱陶しかったが、木々の香りが鼻をくすぐるのは嫌いじゃない。


こんな穏やかな場所に竜が本当にいるのかと思うほど、静かだった。

近くで鳥が鳴いている。

風が木々の葉を揺らす音や、湖の水面で魚が跳ねる音。

やはり見間違いなのではなかろうか。

巨木か何かを竜と見間違えた臆病な兵士が、虚偽の報告をしたのではないか。

他の兵士も何か理由があって嘘を付き、王様を騙しているのではないだろうか。



そう考えていると、近くの木々がガサリと揺れる音がした。

野うさぎにしては音がでかいと思い、警戒して後ろを振り向くと


白い服を着た、うら若き乙女が木々に隠れて俺を見ていた。
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