第8話

文字数 290文字

小さな湖竜が現れたことを、小屋にいる彼女に知らせなければいけない。
そう考えて急いで小屋に戻ったが、彼女の姿はどこにも見あたらない。
先の道ですれ違ったのか?
いや、人の気配はなかったはずだ。

いよいよ近くに竜が現れたことで、俺の危機感は以前よりもグッと増していた。
早く彼女を見つけなければ、彼女の身が危ない。
もしかしたら、現状危ない状況に陥っているかもしれない。
そう考えると猛烈に胸が痛んだ。
ああ、くそ。なぜ俺はこんな時に頼りないのだ。

俺の記憶の中で、彼女はふわりと軽やかにワンピースのスカートを翻して見せた。
白くまばゆい彼女のワンピースと、竜の白く輝く鱗が一瞬重なって見えた気がした。



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