虚神とは
文字数 979文字
あえて「この街」と言ったのは、虚神とは別の世界では異なる存在を示しているためだ。
とある世界では、こちらで言うところの怪獣。また、別の世界では巨大人型ロボットを意味する。
この街における虚神とは、「他者に譲渡可能な守護霊」と言えば分かりやすいか。
普通の守護霊と違うのは、何故か全員神の名を冠していることだろうな。
それが本当に神なのか、それとも神を名乗る別物なのか、我々には判別できない。
真実は、それこそ神のみぞ知る、だ。
虚神に関する簡単なルールを紹介しよう。
1•基本は一人一柱。たまに神々の総称…グループ名を名乗る虚神もいる。その場合も、何故かまとめて一柱とカウントされる。
2•同時期に同じ虚神の所有者は現れない。
3•何らかの理由で手放したい場合、譲渡または教会への保管を推奨する。また、譲渡は譲渡される人間の適性と、互いの合意がなければ行うことができない。
4•完全消滅は特定の虚神のみ可能。しかし実際に見た者はいないため、単なる噂話と思われる。
虚神は《境界》という特殊な環境においてのみ、その力を使うことができる。常に何かに取り憑かなければ、その存在を維持できない。
ゆえに虚ろ。
誰かに認識されなければ、この世界にいないのと同じ。……人もそうか。
難しい話になりそうだから、そろそろ切り上げようか。本来なら、これは私ではなく、狂言回しの役割だろうに。
それでも良いです。彼らを、不必要に恐れることはないと知っていただくだけでも。
私自身、自分の虚神のことを全て知っているわけではありません。
彼らはあくまで人間です。虚神持ちだからと言って、特別に変わったところがあるわけではありません。