第7話銀貨30枚で売られた男と、その考察

文字数 621文字

その男は、銀貨30枚で売られた。
奴隷1人分の値段。
現代のお金で15万か20万。(当時の平均月収)
引き渡した男と罪に問う者たちの間で交渉が成立した。
ちなみに、売られた男は、少し前に頭に塗油された。
かなり高価な油で、銀貨300枚の価値があるらしい。
売られた男は、裏切られた、そして引き渡された。
12人いた弟子は、全て彼を見捨てた。
彼は、肉体の激しい苦痛と、孤独と、裏切りによる悲しみの中、息を引き取った。
自分が死ぬことで、少なくとも弟子を助けられると思ったのかもしれない。
本当は怖くて、ただ、殺されただけかもしれない。
その後、引き渡した男は、罪の意識に責められ、受け取った銀貨30枚を神殿に投げ入れたと言う。
結局戻された金で、罪に問う者たちは、陶器師のための土地を買った。
何のための銀貨30枚だったのか。
彼の命は、罪を問う者たちのメンツ保持のためだけの犠牲になっただけ。
その後、半世紀も持たず、罪を問う者たちの国そのものが滅ぼされ、世界中をさまようことになった。
彼の教えは曲解され、利用されるだけになった。
富は心にが、富は教会に変わった。
天国は心の中にが、天国は教会のものになった。
教会にひざまずかなければ、天国には入れなくなった。
彼は、誰でも、罪人でも招いた。
彼の教えを引き継いだはずの教会は、罪人を殺し続けた。
その罪の基準は、教会が決めた。

いったい、何のための銀貨30枚だったのか。
何のための彼の命だったのか。
何のための、彼の教えだったのか。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み