第34話お節介や忠告  三島由紀夫

文字数 383文字

お節介は人生の衛星術の一つです。
われわれは時々、人の思惑などかまわず、これを行使する必要がある。
会社の上役は下僚にいろいろと忠告を与え、与えられた方は学校の後輩にいろいろと忠告を与えます。
子供でさえ、よく犬や猫に念入りに忠告しています。
全然むだごとで、何の足しにもならないが、お節介焼きには、一つの長所があって、「人をいやがらせて、自らたのしむ」ことができ、しかも万古不易の正義感に乗っかって、それを安全に行使することができるのです。
人をいつもいやがらせて、自分は少しも傷つかないという人の人生は永遠にバラ色です。
なぜならお節介や忠告は、もっとも不道徳な快楽の一つだからです。

※三島由紀夫 「不道徳教育講座」より



大災害発生時の「不謹慎狩り」
コロナ蔓延期のマスク警察。
SNSでは常時発生。

あつかましくて、厚顔無恥、言いっぱなしで無責任。
確かに、何の足しにもならない。、
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み