3頁、まさかの男

文字数 742文字

 私は男に肩を担がれて、フラフラ歩いていた。横を見ると男は、例の七三だった。
ええーっ!?あんたが・・・。信じらんない!
あはは、と笑いが起きたが、直ぐに気分が悪くなり歩きながら戻した。すると、

「汚ぇなぁ〜。だから言ったろ、馬鹿なまねはやめろって」

「煩い!私の勝手だ、ウエェー!」

 私は顔中に汁を飛ばしながら戻し続けた。
男が、くしゃくしゃのハンカチをくれた。
私はそれを口許に持っていったが、その上に更に戻した。ハンカチがドロドロになってしまった。私は、

「買って返すから」

と、ようやく言った。すると、

「いらないよ。それより家は何処だ?送ってってやるよ」

と言うので。

「タクシーに乗せてくれたら勝手に帰るから」

と言って。タクシーに乗せてもらった私は、
戻すのを我慢して家まで帰った。
 家政婦さんが出てきて、泥だらけの私を見て悲鳴をあげた。そこまでしか記憶が無かった。
 翌日、目を覚ますと私はベッドに寝ていた。
腕には点滴がされてあった。側には看護師さんが座っていた。
 服も誰かが着替えさせてくれたようだ。
私は何があったのかを、ゆっくりと考えた。
だけど、頭が痛くて何も考えられなかった。

 看護師さんがお医者さんを呼びにいった。
心配そうな顔の母が医者と共に現れた。
どうやら往診を頼んだようだ。私は脈を診られたり、胸に聴診器を当てられたりして。
気分は、と聞かれた。最悪と答えた。
 お医者さんは、

「あまり、飲み過ぎないようにね」

と笑って言った。
 私は薬を飲まされたんだよ、と言いたかったが。母が心配して、外へ出してくれないと困るので黙っていた。
 その日、1日は最悪な気分だったが。
2、3日もすると、すっかり元気になり。
再び夜の繁華街へと遊びに出だした。
 流石に怖くなって、悪仲間達と一緒に、飲み食い歩いた。
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