Epilogue2 Your warmth

文字数 452文字

 私は走っていた。

 道を曲がると、教会が見える。入り口には、(さとし)と、希璃(きり)、長縄くんの姿があった。

「おーい、主役が寝坊してどうすんだ」
「だから、私がモーニングコールしようかって言ったのに」
「古尾谷さんらしくていいと思います」

 それぞれ好き勝手なことを言ってくれる。まあ、寝坊したのは真実だけれども。
 ふと希璃を見ると、長縄くんと手を繋いでいる。仲のよろしいことで。

 すでに、たくさんの人達が教会の中にいて、式が始まるのを待っていた。
 私は手でゴメンなさいのポーズをとりながら、控え室に入った。

「さやか、ちょっと遅かったね」
「ごめんね、セリト」

 彼に謝りつつ、準備を始める。

 大急ぎで準備を終えて、係の人にオッケーの合図を送る。
 セリトが、手を差し出す。
 私は、彼の手をしっかりと握る。彼の温もりが伝わってくる。

 ゆっくりと会場の扉を開ける。

 たくさんの人達に見守られながら、式は進み、私達はもう一度手を繋ぎ、教会を出る。
 チャペルの鐘が鳴り響く。

 空を見上げると、「おめでとう」の文字が浮かんでいた。

 〈了〉
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