エピローグ

文字数 480文字

――声、聞こえるか?

『……うん』

――良かったな。あいつら幸せそうだった。

『うん…良かった。人の死の運命は変えられないけど、少しでも幸福な時間をあげることができて……良かった』

――そうだな。……眠いのか?

『うん…もう、ほとんど空っぽだからね。一緒に海、見たかったんだけど……映像切れちゃった』

――満足か?

『…ん……』

――そうか。…もう寝ろ。ずっと…オレが壊れるまでここにいてやるから。

『あり…ガと……アタシ……』

――なんだ?

『アたシ、シあわセ……だ・ヨ……』

――…そうか。

『…………』

――おやすみ。良い夢を……


 * * * *

 真っ黒な宇宙の片すみに、ぽつりと浮かぶ一つの惑星。
 その星は遥か昔、人が作り出したただの機械のカタマリでした。けれども今は、青い水にその身を包まれた水の惑星へと姿を変えていました。どうしてそうなったのか、知る人はだれもおりません。
 ただ、ぷっかりと漂う小さな島の、古い古い建物に住む立体映像の魚たちと神様だけが、その理由を知っているのだそうです。

  END

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