(6)

文字数 723文字

「何で、私の家(んち)なんだ?」
 博多の天神に有る西鉄福岡駅で待っていたのは……クソ女の妹が戻って来た日に一緒に居た女。
 女と言っても……髪型も服も化粧も韓流男性アイドルみたいな感じだけど。
「たまには良いだろ」
「まったく……」
 その時、韓流男性アイドルもどきの携帯電話(ブンコPhone)が鳴り出した。
「は……はい……それが……えっと……」
「私の予想通りの相手なら……替ってくれ」
「はい」
「悪いな。当分、お前の家事係の家に泊まる事にした。あと何日か、家事は、全部、お前がやれ。……はあ? こっちは、お前が料理作った後の片付けをやらされんのに、うんざりしてんだ。たまには、自分でやってみろ」
「おい、何で、喧嘩が長引くような事を言った?」
「長引かせたかったからだが?」
「いい加減にしろ」
「そっちこそ、いい加減にしろ。あいつの家事係を一生やるつもりか?」
 ……。
 …………。
 ……………………。
 何だろ……この変な沈黙。
「おい、まさか『それも悪くないかも』とか思ってないよな?」
「……」
「マゾか、あんたは?」
「……うるさい。好きでやってんだ……」
「ともかく、今晩だけでも泊めてくれ」
「……ったく、ネットカフェに行く金ぐらい……」
「私もこいつも一八未満だぞ。泊めてくれるようなのは、確実に怪しい場所だけだ」
「わかった……」
「宿代の代りに飯ぐらい作ってやる」
「何度も言ってるが……お前の方が料理の腕が上なのは認める。でも、私が食べたいのは治水(おさみ)さんの料理だ」
「何度も言ってるが……面倒臭い奴だな、あんたは」
「何度も言ってるが、何、齢上にタメ口きいてんだ?」
「何度も言ってるが、何で、私は呼び捨てで、妹は『さん』付けなんだ?」
 ……何か、面倒臭いの2人と、当分、生活する事になりそう……。
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