(三)-6

文字数 432文字

 倒れた茶髪の若者の方を見ると、白地に黒の線で漫画のキャラが描かれたTシャツが赤に染まっていた。
 あごひげは再び背広の男の方を見た。するとその手には小さいが拳銃らしきものを持っているのに気づいた。それだけではなく、その銃口はさらにこちらを狙ってきていた。
 あごひげはすぐに地面を転がるようにして横に移動した。同時に銃声が鳴り、左後ろからついてきているハズの若者が声を上げて倒れた。
 若者が倒れる音がすると、あごひげはすぐに立ち上がって、もっていた54式拳銃を背広の男に向けた。しかし、あごひげが引き金を引こうとした瞬間にもう一度銃声が鳴った。それは相手のものだった。弾はあごひげの胸に当たった。
 あごひげは体から力が抜けていきそうになりながらも何とか踏ん張って男に拳銃の銃口を向けて引き金を引いた。
 男が小さくうめき声を上げた。体には当たらなかったが、左腕に当たったようだった。それを確認すると、急速に強まる痛みに、気を失い、あごひげはその場に崩れ落ちた。

(続く)
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