(四)
文字数 267文字
荷物の壁の上から降りてきたのは正司の妻の正実だった。正実は娘の唯に駆け寄り、「無事だったのね」と抱きしめた。
唯は「怖かったよー」と声を上げて泣き始めた。
左腕の痛みに耐えながら、正司は妻の顔を見て驚かずにはいられなかった。
「正実……、お前、一体どうして……」
「そういう計画だったのよ」
「どういうことだ」
「唯が誘拐された時点で王の対応を見ながら作戦を考えたの。あなたには話さずにね。公安の情報ではあなたに私を殺させて捜査を妨害するつもりだったらしいの。だから。あなたに私を消させて王を油断させて、娘を救出することにしたわけ」
(続く)
唯は「怖かったよー」と声を上げて泣き始めた。
左腕の痛みに耐えながら、正司は妻の顔を見て驚かずにはいられなかった。
「正実……、お前、一体どうして……」
「そういう計画だったのよ」
「どういうことだ」
「唯が誘拐された時点で王の対応を見ながら作戦を考えたの。あなたには話さずにね。公安の情報ではあなたに私を殺させて捜査を妨害するつもりだったらしいの。だから。あなたに私を消させて王を油断させて、娘を救出することにしたわけ」
(続く)